「それで? そのあとどうなったの?」
隣にいた女子が身を乗り出して聞いてくる。
正直、もうネタはない。適当にオチをつけて終わらせようか――
そう思って口を開こうとしたとき。
「……その指令に従わなかったら、どうなるの?」
それまで黙っていた男が、ぽつりとつぶやいた。
「え? ああ、えっと……」
頭が真っ白になる。作り話なんだから、そんな設定は考えてなかった。
でも、なぜか言葉が浮かんできた。
まるで、誰かに聞かされたことがあるような、いや、それ以上に“自分の中に元からあった”ような感覚だった。
言っちゃダメだ。これは言葉にしちゃいけない。
そう直感的に思って、俺は慌てて嘘をついた。
「たしか……何も起こらなかったと思う」
静寂が落ちる。
誰かが小さく笑ったけど、すぐに沈黙に飲まれた。
まあ、いいか。これで終わりだ。そう思って胸を撫で下ろしかけた――
「違うよ」
隣の男が、ぽつりと呟いた。
「喰い殺されるんだ」
彼の声は小さいのに、なぜか全員の耳に届いた。
「真っ黒な奴に」
「羽が生えてて」
「体が割れて」
「ぬめぬめしてて」
「這い寄ってきて」
「冷たくて」
「食べられて」
「叫ぶこともできない」
「熱い」
「痛い」
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呟いた人って・・・・