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意味怖(意味がわかると怖い話)

asさんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

地元の落書き
短編 2025/06/23 23:53 3,214view
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『この話を最後まで読んだ人は……。』

 そんな書き出しから始まるラクガキがあると聞いたのは、俺が高校生の頃だった。

 当時の俺はオカルトにハマっていて、怪談だの都市伝説だのを読み漁っていた。
 でもこの話にはどこか引っかかるものがあって、妙に印象に残っている。
 たしか、そのときは「そういうのって、最後に書くもんじゃねえの?」と笑い飛ばした記憶がある。
 子供だましのように思えたし、本気で怖いとも思わなかった。

 それをふと思い出したのは、大学のオカルトサークルの飲み会のときだった。
 持ち寄りの怪談を順番に披露していて、自分の番が近づいてきたとき、あの話がふっと脳裏に浮かんだ。

 オカルトサークルとは言っても、心霊スポットに行っては写真を撮る程度の、わりと緩い集まりだ。
 集まっているのも、オカルトが好きっていうより「ちょっと面白そう」くらいのノリの奴ばかり。

 当然、披露される怪談もメチャクチャだった。
 ありきたりな話ならまだいい方で、語り手が情緒不安定になったり、「お前だ!」と無駄に叫んだりするだけのやつもあった。
 次第に場の熱も冷めて、みんなスマホをいじり始めたり、つまみをつついたりしていた。

 そのとき、俺の番が来た。

 ――まあ、せっかくだし、あの話をしてみるか。

 そんな軽い気持ちで口を開いた。

「俺の地元にさ、『この話を最後まで読んだ人は……』って書き出しのラクガキがあったんだよ」

 酔いも回っていたせいか、俺は少し話を盛ることにした。
 どうせ誰も真に受けないし、適当に不気味な雰囲気でも出しておけば、それっぽくなるだろうって。

「で、そのラクガキ、なんか変でさ。日によって内容が変わるんだよ。

『この話を最後まで読んだ人は……』っていう冒頭だけは毎回同じなんだけど、続きが違うの。
まるで、誰かが毎晩、こっそり書き足してるみたいにさ」

「なにそれ、ちょっと怖っ」

 誰かが笑いながら言った。まだ茶化す余裕があるようだ。

「最初は『夜中にドアを見ないでください』とか、『あなたの名前を呼ぶ声がしても、決して返事をしないでください』とか。まあ、ありがちな不気味系だったんだけどさ」

 俺はテーブルに置いた缶ビールをくるくると回しながら、みんなの反応をうかがった。
 予想外に、全員がこちらに集中していた。
 なんだ、みんな意外とこういうの好きじゃん。
 そう思って、俺はさらに話を膨らませることにした。

「でもさ、だんだんその内容が意味不明になっていって……。
『始まりを見ないでください』とか、『気付かないでください』とか。
もう、何を言ってるのか全然わからない。なのに、すげえ不気味でさ」

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コメント(1)
  • 呟いた人って・・・・

    2025/07/10/09:06

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