穴の向こうには、隣の病室が見えました。
なぜ、隣の部屋まで貫通した穴が空いているのか。
老朽化で壁に穴が空いたという可能性も無くはないのだろうが、それにしては綺麗な形をしている。
何故なんだ。隣の部屋になにか訳があるのか?などと考えながら、穴を夢中で覗きました。
___その時、急に友人が声を荒らげました
「おい!離れろ!」
いきなり大きな声を出されて、驚いた私は仰け反り、尻もちを着きました。
その瞬間でした。
ついさっきまで私が覗いていた穴から、先端が鋭利に尖った鉄の棒が飛び出して、狂ったように暴れました。
呆然とする私の手を引いて、友人は走り出しました。
「逃げるぞ!!」
病室を飛び出し、一目散に出口をめざして走り、死に物狂いで暗い山を降りました。
*****
次の日聞いた話なのですが、あの時、友人は隣の部屋の病室の扉が開く音が聞こえたみたいです。
あの棒を私目掛けて突っ込んできた者の正体は幽霊なのか、それとも生きた人間なのか。
私は後者だと考えています。なぜなら……
尻もちを着いた時、隣の病室から聞こえたんです。
*
*
誰かの舌打ちと、「よく避けられたな」って声がね。
あの病院にはホームレスが住んでいるそうですよ。
[完]
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こわすぎわろた