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不思議体験

たちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

手帳
短編 2025/06/02 23:28 2,152view
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祖母は昼間は1人で家にいて、テレビを見ては何かメモを書いていた記憶がある。私が小学生とか中学生の頃だ。

それから数十年が経ち、祖母が亡くなった。
祖母が亡くなってから数年が経ち、祖母が使っていた棚の中身を何気なく開けていると、小さな手帳が数冊ほど出てきた。
私は昔の記憶が蘇り、懐かしい気持ちで手帳を開いた。
中を見ると、主に家計簿として使っていたようで、葬儀で何万円、お年玉で誰々に何万円、買い物で何千円と忘れないようにとメモを取っていたみたいだ。
所々、オカズになりそうなレシピをメモったりもしていた。
他の手帳も見てみると、同じような内容だったり、たまに日記のようなものも書いていた。

しかし、ある日を境に内容が徐々に変化してきた。
その日は手帳を読むをことをそこでやめた。

数ヶ月後、ベッドに入り就寝しようとしていると、1階の廊下を誰かが歩くような音がした。

妻と子供は目の前で寝ている。
ゾッとしたが、あることを思い出した。
祖母のことだ。祖母は夜中に2、3回起きてトイレに必ず行っていた。
私はその気配を中学生や高校生の頃からずっと2階で感じていた。
祖母が歩いてる音、トイレの水を流す音、ドアを閉める音、寝室の襖を閉める音など一気に記憶が蘇り余計に怖くなった。

それから数日後、土曜日で私は休み。
妻は仕事、子供は遊びに出ていたので久しぶりにゆっくりしていた。
9時頃になり、目が覚め、二度寝をしようと目を瞑った瞬間、1階から、
「ゆうー!ゆうー!起きてー」
と祖母が私を起こす声が響いてきた。

一瞬で眠気が飛び、全身鳥肌が立った。
学生時代、寝坊した時によく起こされていた声が聞こえていた。
私は混乱と恐怖で布団から出れないでいた。
しばらくすると、声は聞こえなくなったが階段を降りることが出来ず、2階でその日は過ごした。

不可解なことが続き、なぜだろうと考えた結果、祖母の手帳を見てからではないか?と思うようになった。
祖母の手帳でまだ見てない手帳を見ることにした。

家計簿や日記、レシピを書いていた手帳とは別の手帳を読んでみると本当に祖母が書いたのか?というほど、読めない字が書かれていたり、ネガティブなことを書いてたり、親戚の以前亡くなった方が出てきた夢の内容を書いてたりと少し気味が悪い内容ばかりになっていた。
ここで一つの疑念が浮かんできた。
この手帳に書かれている日付の頃は、祖母は特に変わった様子もなくいつも通りの祖母だった。生前は認知症などにもなっていなかった。
「なんで、いきなり、こんなこと書き始めたんだろう」
私にはわからない変化が祖母の中で起きていたのかもしれない。
それに気付けなくて申し訳ないと思い、仏壇に線香をあげた。

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