――剥がして捨ててしまおうか。
そんなことを思ったとき、紙の隅に小さく鉛筆で文字が書かれているのを見つけた。
《この人は、嘘をついています。》
誰が、何のために書いたのかは、わからない。
けれど、奇妙だったのは、その筆跡が、どこか僕の字と似ていたことだ。
覚えがない。もちろん、僕はこんな紙を貼ったりしていない。
けれど、この時から、何となく――堤防の道を歩くのをやめた。
理由は聞かないでほしい。
ただ、あれから数回、ポストに宛名を間違えて書かれた郵便物が届いている。
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