引き出しの奥から、数年前に使っていた古いスマートフォンが出てきた。電源を入れると、意外にもまだバッテリーが残っていた。懐かしさから、彼はしばらくそのスマホをいじっていた。
すると、突然通知音が鳴った。
「新しいメッセージがあります。」
不思議に思いながら開くと、見覚えのない番号からのメッセージが届いていた。
「また見つけたよ。」
彼は背筋が凍るのを感じた。なぜなら、そのメッセージは、数年前に亡くなったはずの“彼女”が使っていた口調とまったく同じだったからだ。
さらに通知が続く。
「今、君の後ろにいるよ。」
恐る恐る振り返ると、そこには誰もいなかった。しかし、スマホのカメラが勝手に起動し、シャッター音が鳴った。
画面には、彼の背後に立つ“誰か”の姿が、はっきりと映っていた。
彼はスマホを落とし、慌てて部屋の明かりをつけた。だが、部屋には誰もいない。静寂だけが、まるで何かを待っているかのように漂っていた。
スマホの画面には、再び通知が表示されていた。
「逃げても無駄だよ。ずっと見てたんだから。」
彼は恐怖に駆られ、スマホの電源を切ろうとした。しかし、電源ボタンは反応しない。画面は勝手に切り替わり、カメラが再び起動した。
今度は、ライブ映像が映し出された。
そこには、彼の部屋のドアの前に立つ“誰か”の姿が映っていた。顔は見えない。ただ、ドアノブに手をかけているのがわかる。
そして、通知がもう一つ。
「開けて。」
その瞬間、ドアノブがゆっくりと回り始めた。
彼はスマホを投げ捨て、部屋の隅に身を寄せた。だが、ドアは静かに開き、誰かが一歩、部屋の中に足を踏み入れた。
画面は真っ暗になり、最後に一言だけ表示された。
「ようやく会えたね。」
























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。