警察署に行く途中の電車や駅には、なぜか誰もいなかった。
電車で携帯を見ていると、速報で誰かが逮捕されたニュースが入ってきた。
逮捕とだけ書かれており、罪状は不明だ。
そして、添付されている写真を見てそら驚いた。
手錠をかけられている人物の顔は私がバイト中に着けていた仮面と全く同じだったのだ。
私はその刹那、理解が及ばない事象に巻き込まれたことを理解し、非常に強い恐怖感に苛まれた。
警察署の裏門前には完全防護服に身を包んだ警察が数名待機していた。
私は警察に泣きついた。
「どうか助けてください」
警察は明瞭に答えはしなかった。
その後すぐに警察病院に移送され、クリーンルームでテストを受けさせられた。
そのテストの内容は日常生活の行動分岐(このような場合、あなたはどうする?的なやつ)のマーク式のテストで、一問につき15~20個の選択肢が用意されていた。問題数は2800問で、丸一日かけてテストを行った。
テストを受けた後は警察病院に入院することとなった。
いつ退院できるのか聞いても、明確な答えは返ってこなかった。
その次の日、スマホで件の逮捕されたニュースを見ていささか奇妙に思った。
というのも、そのニュースはyahooのトップ記事となっているにも関わらず一つのコメントもついていなかった。
Twitterを見ても件の逮捕に言及しているのは報道機関のアカウントのみで、一般人が言及しているのは確認できなかった。
そのさらに数日後、先日行ったテストの結果が逮捕された男に全く同様のものを行った結果と92%の制度で一致していたこと、逮捕された男が、特例で裁判を経ずに死刑を執行されたことが伝えられた。
死刑執行に関しては、報道機関は報じているものの、一般市民は相変わらずネット上でも誰1人として沈黙を破らない。
また、一問につき平均18個の選択肢が用意されている行動分岐のテストで他人と92%解答が合致するなんて普通は考えられないことだ。
私の人格はあの男のものに書き換えられてしまったのだろうか。私の今後に関しても、関係者は口を閉ざしたままだ。
今にして思えば、バイトの集合場所の近辺には小さな湖さえあれど、あのような水平線を見渡せる湖などなかったはずだ。
このような簡単なことさえ見抜けないほどの郷愁にも似た感情を想起させたあの老夫婦は一体何者なのだろうか。
そして、わたしは一体どうなってしまうのか・・・
























意味がわからない
確かに❓