これは私の実体験なのですが聞いてくれますか?
当時の私は大学を出ても就職せず、毎日退屈していました。
あるときネットで「夢日記をつけると気が触れる」という記事を目にしたので、刺激がほしくて夢日記をつけてみることにしました。
鏡に向かって「お前は誰だ?」と毎日問い続けるとおかしくなるってのは信じられますが、夢日記くらいでなるとは思えません。私が自分で検証して、SNSに投稿してみることにしました。
私の夢に親しんでもらうためにも、投稿には夢の中の出来事だけでなく、夢の面白さ、怖さ、リアリティを100点満点で評価した採点も載せてみました。これでネットで人気になって、働かずにお金を稼げたらいいなあと思っていたので、毎日かかさずに日記をつけました。
私のような暇人は疲れてもいないのに眠るので、毎晩夢を見続けました。
夢日記なのでどうしたって面白い内容になります。
しかしあるときから、日中にふとぼんやりとした光景が頭によぎることがふえました。とても印象的な出来事で、たしかに見たような景色、誰かの声、しっかり覚えているはずなのにどうしてもどうしても思い出せない。
それがなんの脈絡もなく「夢で見た出来事だった」のだとわかるとゾッとしました。気が触れるってこういうことなのでしょうか?
それでも私は相当夢日記と投稿に熱中していたので、じわじわとフォロワーも増えてきて、コメントもつくようになりました。
「なんか最近の日記雑じゃない? 飽きたのか?」
「だから夢日記なんてやめとけといったのに……」
「お前もあの子みたいになるぞw」
「いやマジでそろそろやめとけ」
意味がわからなかった。もはや私の生活の全てとなっている投稿で、雑に書くなんてことはありえません。投稿を読み返してみてもなんの落ち度もありません。いつものようについたコメントすべてに「いいね」をして、その日も夢をみるために、私はゆっくり目を閉じました。
その翌朝のことです。
不思議なコメントの通知が目に飛び込んできます。
「なにこれ? とうとうキチ◯イになっちまったのか??」
私は投稿を見返しました。思わず短く叫びました。
「昨日から美しい少年がずっと私を見ている。60点」
……私は、こんな投稿、していない。
さすがに夢遊病のような症状に怖くなり、この辺りで辞めようと思ったのですが、せっかく人気がでてきたのにやめるわけには行きませんでした。就職もしたくなかったし……。
夢はすぐ記憶から消え去ってしまうので、私は目覚めると急いでSNSを開きます。
その日もSNSを開いて愕然としました。すでに投稿されていたのです。
「彼の美しい顔はそのままだが、あんなに綺麗だった毛髪も半分は抜け落ちてしまった。彼はだいぶ痩せさらばえてしまったのに、下っ腹だけはぶくぶくに太っている。まるで彼の美しさに嫉妬した者から呪いにかけられたみたいだ。40点」
確かにこれは私の夢でした。だんだんと醜くなっていく彼の苦痛と怯えが、私には痛いほどわかるのです。でも私が書きたかった夢はこれではなかった。一体誰が書いたんだ?
投稿日時を確認すると、夜中の3時でした。
「寝ているはず」の時間でした。
その日からの日中はひどいものでした。
夢の細部が私の脳を襲ってくるのです。目を閉じていても見えるのです……。























ひえええ
ちょっとよかわからない