小雨がアスファルトを打つ。その小さな音だけが、田舎道の暗闇に響いていた。それ以外には自分の足音。
ただそれだけ。
千鳥足で歩く夜道は、寒いような、暑いような。
そんな酩酊の夜。
ゴツッ!
「痛ってえ!」
足元にある硬いものにぶつかった。歪んだ視界に映った俺の足元には、黒っぽく、バスケットボールくらいのサイズの何かが2つばかり転がっていた。
「……うっぜえなっ!」
目線を足元に落とす。最近いい事がない。こんなちょっとしたことにすら、心底腹が立つ。しかし足元に転がっていたそれをみて、少し酔いが覚めた。
___地蔵の頭と、胴体だった。
さすがに罰当たりすぎる。でも、アルコールのせいで気が大きくなっていた俺は、誰もいない夜道、
「そこに立ってんのが悪いだろ!」
そう吐き捨て、また歩き出す。元々気の弱い俺は、心の中だけでは、ごめんなさいと、そう言っていたのだが。
*****
目が覚め、二日酔いの体を無理やり起こす。頭が痛い。部屋に目をやると、かなり荒れている。今日は休みだし、流石に掃除をした方が良さそうだ。
昨日の記憶が点々と抜けている。少し深酒し過ぎたか。
二度寝の誘惑に負けそうではあったが、既に日が高い。寝すぎたか……起き上がり、掃除を始める。
「ん?こんな所に傷なんてあったかな?」
木目のテーブルの角が剥げて、白くなっていた。気に入っていたのだが。昨日酔っ払って、何かぶつけたのだろう。特に気にしなかった。
掃除を続けていると、玄関に濡れた足跡があった。自分のものだろう。
……でも何か妙な違和感がある。なんだろう。何かおかしいような気がする。
気になっても、二日酔いの頭では分からない。
「気にしすぎだよ…」
そう言い聞かせた。
よく見ると、足跡は玄関から部屋の方まで続いている。足跡を雑巾で拭きながら足跡を追う。
足跡は押し入れの前でピタリと途切れていた。
おかしい。俺は家に帰ってきてすぐに布団に入ったはずだ。押入れの前になんて立ってない。
酔ってたし、記憶が無いだけで押し入れの前までふらついて歩いてきたんだろうか
いや、それでもここで足跡が途切れるのはおかしい。




















怖すぎる…
世の中ごめんでは済まないこともあります。特に酒が入っている時は気をつけましょう。下戸より