俺は趣味で心霊系のYouTubeチャンネルを運営している。
登録者は2000人に満たない小さなチャンネルだが、常連が何人かいて、コメントも頻繁にもらえるようになってきた。
仕事終わりにひとりで撮影して、帰って編集して投稿する。面倒だけど楽しい。
昔から心霊スポット巡りが好きで、学生時代は友達とよく深夜に車を走らせた。
だけど俺自身には霊感なんてまったくないし、正直、そういうのは「怖がる自分を楽しむ」ためのエンタメだと思ってた。
だから、動画内の怪奇現象のほとんどは――まあ、ヤラセだ。
撮影中に廊下の端にマネキンの頭を半分だけ映り込ませたり、編集で風の音を足したり。
でもそれが受けるんだよ。
「2:14に誰か立ってる」「5:48で声聞こえた」なんてコメントがつくと、ついニヤけてしまう。
そんなある日。
俺はネットで噂になっていた「廃旅館」に行くことにした。
隣県の山中、昔夫婦で経営していたが経営難で心中した…らしい。
中でも“2階の一番奥の部屋”がヤバい、とされていた。
現地に着くと、建物は思ったよりしっかりしていた。
古びた木造2階建て。誰かが肝試しに来たのか、1階の壁には落書きが多い。
撮影はいつも通り。
内カメと外カメで俺自身と周囲を同時に撮って、編集で組み合わせる。
今回は、例の“撮れ高アイテム”も持ってきていた。マネキンの首。薄暗い廊下の奥にちょっと映るだけで、コメント欄は盛り上がる。
1階を回っているうちは、特に異常はなかった。
薄ら寒さはあるが、まあ山奥の廃屋なんてこんなもんだ。
問題は2階だった。
階段を上がり、廊下を進んでいく。
左右の部屋を順に見ていくが、どこも似たり寄ったり。
だが、一番奥。件の部屋だけ、扉に手をかけた瞬間、指先に“妙な重み”が走った。
他の部屋と同じ構造のはずなのに、なぜか開かない。
まるで誰かが中から抑えて入るのを拒んでいるような感じだ。
力を入れて引くと、突然スッと軽くなり、バランスを崩してライトとカメラを落としてしまった。
ライトの光が、開いたその部屋の中を照らす。
……一瞬で、空気が変わった。
他の部屋と同じ建物の中とは思えないほど、朽ち果てていた。
壁は剥がれ、畳は腐り、空気は重い。鼻をつく生臭さが喉にまとわりつく。























Mattyakowai!
女の人こわ!
こういうの好き
怖いなあ