廃屋
投稿者:琥珀 (5)
街灯のある所までT君を徒歩で運んだSと私は、
見様見真似で持っていた、コーラをTの顔にかけてみましたが、意識は戻りません。
車ならまだしも、原付では意識の無い巨体を運ぶ事が出来ません。T君のバイクを置いていくわけにもいかず。ただTが意識を取り戻すのを待つか、救急車が来れるとこまで運ぶか…。もちろん携帯電話なんて持ってません。
暫くして「はぁっー!」と意識がなくなってから、呼吸が止まっていたかの様に深い呼吸と共にT君が意識を取り戻しました。
T君は倒れた全く記憶がありませんでした。
しかも、「誰だ頭になんかかけたの⁉︎ベタベタする」と怒っています。
経緯を話して何とか地元に帰った時には朝方でした。後日、逃げたバイクの持ち主はT君に呼び出され鉄拳制裁を喰らう所でした。
バイクの持ち主は、
「お前らは見てないから言えるんや!左側の部屋から巨大な顔面が出てきて、Tを背中から押したんや!」
「嘘こけ!ガツンっ!」
バイクの持ち主は仲間外れになりましたが、私のバイト先にまで訪ねてきて同じ話をしました。嘘をついているようには見えませんでしたが、私もT君を運んでいる途中でライトを消された事にムカついていたので聞く耳を持ちませんでした。
後日、違う高校の友人に洋館の話をしたら、
「お巡りさんの幽霊見た?」と意味不明な事を言われました。
「お巡りさん?」
「知らんの?」
友人曰く、
あの洋館は過去に人が焼け死んでいました。
焼身自殺なのか火事なのかはわかりません。
事件の時に若いお巡りさんが人を助けようと、巻き添えになり自身も焼け死んだとか。
それから、あの洋館の周りには俯いたまま、トボトボと歩くお巡りさんが目撃されているそうです。下を向いて歩いているお巡りさんにヘッドライトを当てるとこちらを向いて走って来るのだとか。
お巡りさんは見ませんでしたが、巨大な顔面はいるみたいです。成人式で会ったバイクの持ち主が話を信じなかった事を本気で怒っていたので、恐らく嘘ではありません。
モンキーが入る玄関なら普通のバイクどれでも入るやろね?
夜中の廃墟行くのに強力なライト持っていかない神経がわからないけど!