祖母の遺影を囲んだ夜
投稿者:jin (11)
わたしには本当にかけがえのない存在であった祖母がいました。
両親が共働きだったこともあり、幼い頃から祖母に育てられたといっても過言ではないほど。
それは、わたしの弟も同じことです。
時はすぎ、わたしも弟も成人し、結婚、親になりましたが本当にお嫁さん、ひ孫に対しても愛情の全てを注いでくれていたといえるほどです。
そんな祖母が亡くなったときのことです。我が家は田舎なので、いつでもお葬式も自宅の大きな和室で行うことがしきたりになっています。
葬儀の前の夜は、私と弟の家族で祖母を取り囲んで一晩過ごそうと言うことになりました。
そこで不思議なことが起こりました。祖母の思い出話をしながら、お酒を酌み交わし会話をしていたのですが、突然、お線香が消え、部屋の明かりも消えたのです。私たちもあれと思いながら、少し会話が止まりました。
5秒ほどの沈黙が開けた後、私が、照明をつけようかとろうそくを照らした瞬間、祖母の亡骸はそのままにもかかわらず、
残像のような形で起き上がっているではありませんか。
本来なら怖い存在であるはずですが、こればかりはわたしも弟も最後に祖母がもう一度会いに来てくれたのだと思いました。実際にお互いのお嫁さんも見ているので間違いありません。
涙が溢れて数秒でその姿は消えてしまいました。
そして。また沈黙を挟んだのち、
「おばあちゃん、こんばんはみんな来てくれてありがとう。うれしいよ」と言ってたよね?とわたしが皆に聞くと全員うなづきます。本当に最後まで可愛らしい祖母、愛おしい祖母でした。
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