「ああ。……お前が待ってるならな。」
「……バカ。」
扉が閉まり、電車は再び夜の闇の中へと走り出した。
~サヨナラの時間~
——深夜0時45分。いつもの終電。
田中は、今日も彼女の待つ車両に乗り込んだ。
「おっそーい!」
「はいはい、ただいま。」
毎晩のように繰り返される、幽霊とのやりとり。
もう当たり前になっていた。幽霊と会話をする日常が。
でも、その日は違った。
彼女の様子が、いつもと違った。
「なぁ、お前……なんか、変じゃないか?」
「え?変って?」
「なんか……透けてるっていうか、前より薄くなってる気がする。」
田中は訝しむように彼女を見つめた。
確かに、彼女は幽霊だから元々透けている。でも、今はそれとは違う。輪郭がぼやけているのだ。
「……やっぱり、気づいちゃったか。」
彼女は少し寂しそうに笑う。
「どういうことだよ。」
「たぶん……もう、ここにいられなくなるんだと思う。」
「は?」
田中の胸が、ズキリと痛む。
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コワすぎ!!
怖いっていうか、うんお幸せに
泣きそう
泣けるねー