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心霊

どこかで見た話さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

幽霊とラブコメしてみた
長編 2025/02/27 01:08 8,127view
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「お前エスパーか?」

「2年も見てたらわかるっての。」

彼女は得意げに笑う。田中はため息をつきながら、ポケットから缶コーヒーを取り出して口をつけた。

もちろん、彼女は飲めない。でも、たまに田中が持っている飲み物の匂いを嗅いでは「おいしそー」と言うのが恒例だった。

「じゃあ今日はコーヒーね?ブラック?」

「当たり。ほら、匂いだけでもどうぞ。」

「……はぁ、飲めたらいいのになぁ。」

彼女は少し寂しそうに缶を見つめる。

最初に出会った頃は、「ぎゃあああ!!」と叫んでいた田中も、今では彼女とこうして日常の話をするのが当たり前になっていた。幽霊だということは忘れていない。でも、彼女と話していると、妙に心が落ち着く。

「ねぇ、いつも思うんだけどさ。」

「ん?」

「私のこと、怖くないの?」

「……正直、最初はめちゃくちゃ怖かったよ。でも、もう慣れたし、お前が悪さするような幽霊じゃないってわかったしな。」

「えっ、それ褒めてる?バカにしてる?」

「どっちかって言うと褒めてる。」

「そっか。」

彼女はふふっと笑う。その顔は、まるで生きている人間のように楽しそうだった。

電車は静かに走る。終電の車内には、田中と彼女以外にほとんど人はいない。

「ねぇ、田中。」

「ん?」

「ずっと一緒にいてくれる?」

「……お前がいいなら、な。」

田中は何気なくそう答えた。でも、その瞬間、彼女の表情がふっと柔らかくなる。

「……そっか。」

嬉しそうな、でもどこか切なそうな顔。

——彼女は、きっとこの電車を降りることはできない。

それでも、田中は彼女とこうして過ごす時間が嫌いじゃなかった。

終電の時間が続く限り、この関係も続いていくのだろう。

電車が次の駅に滑り込む。

「ねぇ、明日も来るよね?」

6/9
コメント(4)
  • コワすぎ!!

    2025/02/28/08:39
  • 怖いっていうか、うんお幸せに

    2025/03/10/13:30
  • 泣きそう

    2025/04/07/15:37
  • 泣けるねー

    2025/05/18/20:31

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