「お前エスパーか?」
「2年も見てたらわかるっての。」
彼女は得意げに笑う。田中はため息をつきながら、ポケットから缶コーヒーを取り出して口をつけた。
もちろん、彼女は飲めない。でも、たまに田中が持っている飲み物の匂いを嗅いでは「おいしそー」と言うのが恒例だった。
「じゃあ今日はコーヒーね?ブラック?」
「当たり。ほら、匂いだけでもどうぞ。」
「……はぁ、飲めたらいいのになぁ。」
彼女は少し寂しそうに缶を見つめる。
最初に出会った頃は、「ぎゃあああ!!」と叫んでいた田中も、今では彼女とこうして日常の話をするのが当たり前になっていた。幽霊だということは忘れていない。でも、彼女と話していると、妙に心が落ち着く。
「ねぇ、いつも思うんだけどさ。」
「ん?」
「私のこと、怖くないの?」
「……正直、最初はめちゃくちゃ怖かったよ。でも、もう慣れたし、お前が悪さするような幽霊じゃないってわかったしな。」
「えっ、それ褒めてる?バカにしてる?」
「どっちかって言うと褒めてる。」
「そっか。」
彼女はふふっと笑う。その顔は、まるで生きている人間のように楽しそうだった。
電車は静かに走る。終電の車内には、田中と彼女以外にほとんど人はいない。
「ねぇ、田中。」
「ん?」
「ずっと一緒にいてくれる?」
「……お前がいいなら、な。」
田中は何気なくそう答えた。でも、その瞬間、彼女の表情がふっと柔らかくなる。
「……そっか。」
嬉しそうな、でもどこか切なそうな顔。
——彼女は、きっとこの電車を降りることはできない。
それでも、田中は彼女とこうして過ごす時間が嫌いじゃなかった。
終電の時間が続く限り、この関係も続いていくのだろう。
電車が次の駅に滑り込む。
「ねぇ、明日も来るよね?」

























コワすぎ!!
怖いっていうか、うんお幸せに
泣きそう
泣けるねー