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呪い・祟り

笹々さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

入ってはいけない竹林
長編 2025/02/02 00:11 240view

その後は俺と光一もほとんど喋らず、チャリをかっ飛ばしてそれぞれの家に帰った。
翌日、光一から電話で呼び出された俺は光一の家に向かった。
「あの2人、なんか変だったよな」
光一もやはり違和感を感じていたようだ。
「だよな。考えられるとしたら、あの家の中で何か見たとか……」
光一はあの後、慶太と晃に電話をかけたのだという。しかし2人とも疲れて寝ているとの事で、話すことが出来なかったらしい。
「そんで今日も電話したんだけどさ、2人とも熱出して寝込んでるらしいんだ。おかしくね?2人同時にって。絶対なんかあるよ」
光一の言いたいことがなんとなくわかった。
光一はあの建物に”何か”があって、慶太と晃が何らかの”祟り”でああなったと思っているのだ。

光一の家から帰宅すると祖父が家に来ていた。

そういえば祖父は小さい頃からこの町に住んでいる。あの竹林のことを何か知っているかもしれない。
俺は竹林に入ったことは黙った上で祖父にそれとなく聞いてみた。

「ああ、あそこはな。入っちゃいけないっていうのは、昔から誘拐事件が多かったからなんだよ。あの辺は人通りも少ないし、暗くなると街灯もほとんど無くて真っ暗になるだろ?おまけに竹が密集してて中が見えづらい。だから子供に、あそこに近づいちゃいけませんよって言ってきたんだ」

なんだ、そういうことだったのか。
祟りなんか想像してビビってたけど、要は不審者の的にされて危ないから近づいちゃダメだっていう、単純な注意喚起だったのだ。
「それじゃ別にあそこで幽霊が出るとかではないんだね」
俺が笑ってそう言うと、祖父が急に真剣な眼差しを向けてきた。
「……誘拐が多いっていうのはな、あくまで建前だったんだよ。あそこに立ち入ってはいけない本当の理由は他にある」

以下が祖父から聞いた話である。
昔、あの竹林の中央に一軒家があり、そこにとある夫婦が住んでいた。

とても仲睦まじい夫婦は周囲の住人とも仲が良かったが、ある日奥さんが流産してしまう。
奥さんは子供を亡くしたショックで頭がおかしくなってしまい、周囲の住人に「お前が私の子を殺したんだ!」と襲い掛かるようになってしまったらしい。
そのことがきっかけで夫は自殺、奥さんはしばらく一人で竹林を徘徊していたが、そのうち近くの川で溺死しているのが見つかった。

それから、竹林付近で遊んでいた子供が行方不明になる事件が相次いだ。
ほとんどの子供はついに見つからなかったが、ある時、行方不明になっていた子供のひとりが空き家となった夫婦の家の中で発見された。
その子供は余程恐ろしい目にあったのか髪が老人のように真っ白になり、言葉を話せなくなっていた。
しかし時間が経つと少しずつ、自分の身に何が起きたか話すようになった。

「死んだはずのあの家の奥さんが、子供を攫って食べている」

当然、誰も信じなかった。
しかしその子供の身体には確かに何者かに噛み付かれたような歯形があった。

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