振った女が…
投稿者:ウラヤ (1)
ヒトコワになるのか心霊になるのかわからないけど。
高校生の頃、同じクラスのKっていう女子に告白された。
俺はどちらかというとヤンチャなグループにいて、Kは誰とも喋らない絵に描いたような陰キャ。見た目も太ってて地味。いつも一人で漫画を読んでて、誰かが話しかけても声を発さない。俺はKの存在をほとんど認識していなかった。それくらい影が薄かった。
そのKにいきなり告白された。
蚊の鳴くような声で、下を俯いたまま。
俺は若干イラッとした。なんだこいつ。俺なら自分でも付き合えそうとか思ったのか?
根暗な女は大嫌いだったので、きっぱり断ってやった。
「悪いけど無理。他当たって」
そう言って立ち去ろうとすると、制服の裾を掴まれた。
「どうしたら付き合ってもらえますか……」
気が滅入るような暗い声で聞かれた。
「いや本当、マジ生理的に無理だから。何が起こっても付き合えないからほんと勘弁して。二度と話しかけんなよ」
少し冷たいかなと思いつつ、下手に優しく断ると勘違いされそうだったので突き放す形で振った。
これでKと関わることはもうないと思っていた。
その後、Kは不登校になった。
なんとなく顔を合わせたくないと思っていた俺にはラッキーな出来事だった。
しかしやはり、Kが来ていないことを気にしているクラスメイトは誰一人いなかった。
次第にKの席は勝手に物置として使われるようになり、担任ですらプリントや本を一時的に置くのに使うようになった。
誰もが、そこにKという女子生徒がいたことを忘れていった。
高校を卒業し、月日が流れ、25歳になった時に高校の同窓会が開かれることになった。
うわーお前変わったなー!とか、お前昔と全然変わらねーな!とか、みんなでワイワイ騒いでいたら、誰かに肩を叩かれた。
が、振り向くと誰もいない。
気のせいかと思って前を向くと、また誰かに肩を叩かれる。しかし振り向くとやっぱり誰もいない……。
さては隣の奴がいたずらしてるな?と思いしばらく監視していたが、明らかに俺の後ろに人がいないとわかる時にも肩を叩かれた。
俺のイラついた感情が顔に出ていたのか、隣にいた奴が「どうした?」と聞いてきた。
「なんかさっきから誰かに肩叩かれるんだけど、振り向くと誰もいなくてさ」
すると一部の友人がザワついた。
「お前それ、絶対Kの幽霊だよ!!!」
この時はじめてKの存在を思い出した。
聞いた話によると、Kは高校を中退し、その後自殺していたらしい。
自殺の理由は俺にフラれたから。そんな噂が、何故か卒業後に囁かれていたそうだ。
当事者の俺はそんな噂があることも知らなかったわけだが、学校ではあんなに存在感がなくて忘れ去られてたのに死後噂話の中心になるなんて、ちょっと気の毒だなと思った。
「で、実際のところどうなん?Kに告られたのはガチなわけ?」
食い気味に聞かれたが
「いや、俺モテモテで色んな女子から告られてたからいちいち覚えてねーわw」
と誤魔化した。これ以上Kの話をしたくなかった。
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