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不思議体験

たちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

イタズラ
長編 2025/01/15 01:41 1,077view
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「用務員さんがいる時間帯じゃない。見回りの警備会社の人達でもない。誰が怒鳴ってきた人がわかれば何かわかるかもしれないってことで、アニキ達の時代はプールに向かうまでに監視カメラがあってそこを通ったらしいんだ。
だから、監視カメラを調べれば何かわかるかもと思って先生にお願いしたんだけど、結果は…」

「何か映ってたのか?」
「誰がいた?」
とLINEの通知が立て続けに鳴った。

「結果は、何も映っていなかった。場所的にも映っていておかしくないはずなのになぜか何も映ってなかったらしい。」
友人達は、
「なんだよー。」
「結局、手がかりなしかー。」
「カメラに映らないように移動してたのかな?」
などと返信してきた。

「いや、映ってたんだ。プールに向かう時はカメラに映っていなかった。だけど、プールから離れて行く時は映ったらしい。
それも…捕まった子の片方の足首を持って引きづる姿が…」

その文章を見た瞬間、全身に悪寒がした。
友人達もその文章以降返信が止まった。
しばらくして、
「どんな奴が映ってたんだ?」
と友人が聞いた。
「どうやら、学校関係者ではないらしい。その画像を警察に渡したんだけど結局見つからずだったみたい。そんな事件があったから俺らに気をつけろって言ったらしいよ。」

「やべーじゃん。」
「連れ去った犯人は捕まってないのかよ…」
「野村もそいつに捕まったのかな?」
みんな野村のことが心配でLINEもポツリ、ポツリとしか返信がこなくなった。

そらから月日が経ち、野村は行方不明のまま数十年が経過した。
私達はそれぞれの人生を送りながらもたまに連絡を取り合ったりしていた。
ある年、久々に地元に全員帰れるタイミングがあったので集まる約束をした。
約束の日の夜、全員集まり飲みながら近況報告や思い出話で盛り上がった。話題は尽きない。
時間があっという間に過ぎ、そろそろ帰るかと言う時に、
「そういえば、野村のやつどうなったかな?」
ボソりと聞こえてきた。
みんな覚えてはいるがあまり思い出したくない過去だったので話題はあえて出さなかった。
しかし、やはり見慣れたメンバーが集まると懐かしく昔のことを思い出してしまうのは仕方ないと私は思った。
「ああ、野村な…」
「どこ行ったんだろうな。」
みんな野村のことは忘れていない。もちろん今になっても心配はしている。
私が、
「久々に学校行ってみるか。プールに忍び込むのは無しな!」と言うと、全員賛成し向かうことにした。
歩きながらも話をしていたのであっという間に学校に着いた。

「懐かしいなー」
「変わってないなー、ここは。」
と懐かしい気持ちに浸っていた。
学校の周りを一周しながら最後にプールのとこにたどり着いた。全員、思わず足が止まりプールサイドを眺めている。
「こら!」
と突然怒鳴り声がした。
全員固まり、顔を見合わせながら恐る恐る振り返ると遠くに懐中電灯の灯りが見えた。
少しずつ、近づいてきてその姿を見て全員絶句した。私は、
「の、のむらか…?」
声が小さく、近づいてくる人物に聞こえたかはわからない。
「あっはははははは。」
「あいつら、ビビってたなー。」
一瞬にして、背筋が凍り動けなくなった。
私達の視線の先には紛れもなく野村がいた。
小学生の姿のままで、顔はなぜか笑ってない。無表情。口だけが動いていた。
誰1人動くことも言葉を発することもできず野村を見ていた。
野村も立ち止まりこちらをじっと見ている。
少しすると突然、プールの奥側、山の斜面の方を見出した。視線を斜面に向け動かなくなった。
私達は一斉に逃げ出した。
いい大人5人が無言で必死に走った。

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