なんでいきてんの
投稿者:ちょっとヒンヤリ (1)
「進め……ってことかよ……?」
振り向くと、全員がゆっくり立ち上がり、俺に向かって歩いてくる。明晰夢だとわかっていても、恐怖で体がすくんだ。動けないまま彼らが近づいてくるのを見ていると、ふと非常停止ボタンのことを思い出した。
「これを止めれば……!」
必死に非常ボタンを探すと、さっきまでなかった場所にボタンが現れた。迷わず押すと、けたたましい警笛が鳴り響き、電車が徐々に減速していく。
電車が停車し、見知らぬホームに到着した。俺は何も考えずにホームに降りた。
電車はゆっくり走り出し、
ふと振り返った。すると乗客たち全員が窓越しに俺を睨んでいたのだ。
「うわぁっ」と声を上げながら目を覚ました。
現実に戻った俺は汗だくだった。
心臓がバクバクしていて、夢だとわかっていても震えが止まらない。ふと友達を見ると、ゲームオーバーの画面をぼんやり眺めていた。
「おい、大丈夫か?」
声をかけると、友達はゆっくり俺の方を向いた。
その顔を見た瞬間、息が止まった。夢の中で見たあの乗客たちと同じ顔だった。目は真っ黒で、怒りを湛えた表情。
そして低い声でこう言った。
「なんで、生きてんの?」
恐怖で叫びそうになりながら友達の肩を掴むと、次の瞬間には元の顔に戻っていた。
「え、なに?寝ぼけてんのか?」
そう言って、何事もなかったようにゲームを再開した友達を見て、俺は何も言えなかった。
あれは本当に夢だったんだろうか。
今でも、あの顔と声が頭から離れない。
怖〜
怖〜
飛び降りてたら本当に死んでたのかな?
友人に幽霊が乗り移ってたのかな?