危険な夜
投稿者:たち (28)
短編
2025/01/02
01:26
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町を離れ、長い年月が経ち都会の生活に慣れていくと故郷の風習自体を忘れかけてきていた。
若い頃は両親から連絡がきては御守りを身につけていたが数十年後、両親が他界し故郷に帰省することもなくなっていたので余計に風習のことを考えなくなって生活を送っていた。
ある年の3月1日。その日は残業をして帰宅が遅くなった。帰宅中にスマホに知らない番号から着信があったので、
「もしもし?」と出ると
「あっ、もしもし!○○か?私だ。○○だ。」
と故郷に住む、いとこからの電話だった。
「あー!○○おじさん!久しぶり!」と軽く会話をしていると、
「お前、御守りは持ってるよな?」と言われ、
「御守り…あっ、今日3月1日か!それも今年は…」と風習のことに気づいた。
私はとっさに、「御守り?持ってる。」と嘘を言ってしまった。
「そうか!よかった。お前の両親に頼まれててな。大丈夫だと思ったんだが、念のために連絡してみたんだ。」
「そうなのか。大丈夫!」と言いながら内心はかなり焦っていた。
「ヤバい!ヤバい!早く帰らないと!」
その後電話を切り、急いで帰宅していたが、
「でも、たかが言い伝え。今の時代で何もないだろう。」と思うと自然と焦りは無くなっていった。
帰宅し、「ただいまー」と家族に伝え、家に入ると、「○○さん、○○さん」とドアの向こうから聞こえた。
ドアノブに手をかけ、ドアを開けてから私は叫んだ。
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