奇々怪々 お知らせ

不思議体験

たちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

誘われた笑い声
短編 2024/12/17 23:51 410view

「今日は金曜日。今日さえ乗り切れば来週からは残業もしなくてすむ。今日さえ乗り切ろう。」と私は思いながら仕事をした。
仕事を終えた私は、急いで戸締りをして音がしても無視して帰ろうと決めていた。
階段を降り、すぐに入り口を閉め鍵をかけようとした瞬間、
「ペタペタペタペタッ。キャハハハハ。」
私は入り口で動けなくなり固まっていた。
瞬きもできず、ただ心臓の鼓動だけが伝わっていた。
「は?何?子供?女の子?」
女の子が楽しそうに裸足で走り回っていることを想像した。

「違う。もう1人いる?」
耳を澄ますともう1人走り回ってる音がしている。
「アハハハハ、待てー。」
「キャハハハハ、イヤー。」

2人で鬼ごっこをしてるかのような、楽しそうな笑い声が会社に響いていた。
私は、人間ではない。霊の仕業だ。ということは理解していた。だが、楽しそうな様子に恐怖心が徐々に薄れていった。
すると、「おいでー。一緒にやろう!」「来てきて、やろうよー」と2階から呼ぶ声がした。
「俺に言ってるのか?」と思っていると

「ペタ、ペタ、ペタ」と階段を降りてきているような音がした。
「おいでー。おいでー。おいでー。」と呼ぶ声、私は会社の入り口を開け、階段の方に向かおうとした。
「おい!待て!」と私は腕を掴まれ引っ張られた。後ろを振り向くと会社を休んでいた先輩がいた。
「あれ?先輩。今日休みじゃ…」
「1人で残業してると思って来た。そろそろ帰る時間帯だから気になってな。」
少しずつ落ち着きを取り戻してきた私は、
「子供達の楽しそうな声がしてて…おいでー。って俺も誘われたので行ってみようかなと思ってたんです。けど、そのあたりが記憶があまり無くて…気づいたら先輩に外に出されてました。」

「子供の声?俺には聞こえなかったな。お前が会社のドア開けて入っていこうとしたから引き止めたんだ。それに…」
「それに、なんです?」と聞くと
「それに、お前を呼んでた声?は子供ではないかもしれない。お前を引っ張った時に玄関まで入ったんだ。一瞬しか聞こえなかったからなんとも言えないが…大人の声がしたんだ。しかも多勢の…声が。」

2/2
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。