家族の笑顔
投稿者:たち (8)
顔を少し上げた瞬間、
「えっ…」
と小さく呟き、体が一瞬動かなくなる感覚がありました。
反対車線の路肩を誰かが歩いていたのです。
街灯がないところを大人と子供が歩いていました。
すぐに視線を下にして、父の手を握りました。
目を瞑り、少し震えながら父に掴まり歩き続けました。
しばらく歩いて、距離も離れたと思ったので父の様子を伺いました。
「大丈夫か?疲れたか?」
いつもの父の優しさに触れ、少し安心しました。
「大丈夫」
と弱い部分を見せないように、やせ我慢を言い、休憩所を目指しました。
あと、トンネル1本抜ければ休憩所という所まで来ました。
トンネル入り口近くの街灯の近くに差し掛かったところで突然、反対車線側に先程見た人影のようなものが見えました。
一瞬で身体中に緊張が走り、すぐ父に掴まり歩き続けました。
トンネルに入り、父に、
「ねぇ、さっきの…」と言うと。
「後ろを振り向くなよ。」と小さく言ってきました。
その言葉を聞いた瞬間から震え始め、
「うん…」と小さな声で答えました。
まもなくして、後方から車の音が聞こえました。
走ってきた車は猛スピードで私達の横を走り去っていきました。
「あれ?うちのと同じ車かも?」と車のリアを見て思いました。
一台でも車が通ったことに安堵し、
「もう少しで休憩所だ」と思っていたら、またすぐに車の音が。
また、きた!という安心感から後ろを一瞬振り向きました。
すると、トンネルの入り口付近で2つの影がこちらを見ているのが、目に入り、
「やばい…」と一瞬感じたのも束の間、
影を見てる視界に車がスローモーションのように入ってきました。
その後、私の視線は影よりも車の車内に釘付けになりました。
その瞬間、何も考えられませんでした。
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