アパートの扉

あれ、ここも3階の扉みたいに開いてたっけ？

と頭が疑問に思っているのと同時に

視界に入ってきたのは

その扉の奥から男とも女ともわからない何かが、うめき声をあげながらこちらに走り出している姿だった。

「うわあああぁあぁぁあぁぁぁぁっぁぁぁぁああああぁぁ！！！！！！！！」

私は悲鳴をあげながら近くのコンビニに走りこんだ。

店内に入って振り向くと、さっき見た存在はもういなかった。

ほっと一息ついたが、お客や店員の「コイツ何してんだ？」という視線が痛くてその日は帰路を急いだ。

翌朝

昨日の事が気になり、明るい時間に例のアパートに向かったが

件の3階の扉も、昨日何かが出てきた1階の扉も閉まっていた。

昨日のやつは、いったい何だったのだろうが。

最初は、毎日アパートをじろじろ見ている私に怒った住民が脅かしてきたのかと思った。

しかし、あの存在が出していたうめき声はかなり大きく

私の悲鳴ではかき消されないくらいだった。

それなのにコンビニにいた人どころか、当時駐車場にいた人たちまで私しか認識していない感じだった。