女と猫のいる牢屋
投稿者:化け學 (3)
覚悟を決めて、行こう!となり、コンビニに寄る。
時間を潰すものがいると思いジャンプと酒を買う。
女も漫画を買っているが、こんな⚪︎⚪︎は嫌だみたいなタイトルの、よく分からない漫画を持っている。
コンビニで見かける度に、こんな漫画どこに需要あるんやろと思っていたが、こういう子が買って行くんだなと腑に落ちた。
コンビニのすぐ近くのコンクリート打ちっぱなしのおしゃれなマンションが彼女の住まいだった。
ええとこ住んでるなって思い、ちょっとテンション上がりつつマンションに向かって行く。
入り口に猫の缶詰が置いてあるのが見えた。猫に餌付けしてる住人がおるんやなと思いながら進んでいく。
女の部屋に着いて扉を開けた。
その瞬間強烈なアンモニア臭が鼻をつく。
ウッと眉間に皺を寄せながら部屋に入って行く。
中は10畳くらいのワンルームで、家具は無く、直置きのテレビと敷布団があるだけだった。全体的に薄汚れていて、薄暗くじめじめしていた。
それと部屋の隅に10匹くらい猫がいる。
僕は猫を飼った事が無いのでよく分からないのだが、人間にはほぼ無関心で、日々のんびり気ままに過ごしてるような生き物だと思っていた。
ところが、その猫たちはみんなこちらを警戒して、磁石に吸い寄せられる砂鉄のように奥の壁にへばりついてしまっている。
突然1匹の猫に女がものすごい勢いで近づき、首根っこを掴んでグイと持ち上げた。猫はシャーゆうてる。
「なに勝手に出てきてんねん!コラ!」
どうやらその猫はどこかから出てきてしまっていたようだ。だが、部屋には猫砂が入った檻があるだけで、それには扉すら付いていない。
どこから出てきてしまったのか聞いてみると、
「ここからや!」
ゆうて押し入れを勢いよく開けた。
暗闇の奥に無数の目が光っている。
密入国者がトラックにすし詰めになっているのをニュースとかで見た事があるけど、そんくらい猫が詰まっていた。
マンションの入り口に缶詰が置いてあったが、あれに誘われて集まってきた猫を、片っ端から攫って押し入れに押し込んでいっているのだと思った。そうじゃなければ説明がつかない数だ。
呆気に取られて立ち尽くしていると女が言う。
「喉乾いたからちゃー入れてや」
流しに洗ってあるコップがあるというので行ってみると、それらしきコップが全部上向いて置いてあった。
洗おうとすると怒鳴り声が響いた。
「洗ってあるゆうてるやろ!そのまま茶入れて持ってきたらええねん!」
言われた通り茶を入れると案の定毛が浮いている。
茶を女に渡し、自分は買ってきたビールを飲んだ。
飲みながら、来てしまった事をめちゃ後悔していた。
押しに弱くて断れない男にイライラする
ねこ 逃がしてあげてほしかった