第二電算センター
投稿者:ねこきち (21)
長編
2024/10/01
15:43
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センターからの物品搬出当日、業者の求めに応じて私は初めて第二専用ルームの照明をつけた。
そこには何もなかった。
サーバやメインフレームなどのコンピュータがなかったのではない。ラックも、ロッカーも、椅子も机も、そして何より昨日まで我々がずっと監視してきたあの緑色に光る二つのランプも、何もかもがなかったのだ。
養生テープの向こうは、何もないスペースだった。
夜間に誰かが撤去したのか?そんなはずがないことはセンター入口の監視カメラ、社員や守衛の証言、日誌から簡単に確認できた。
この十数年間私たちはこの何もない部屋の何を「監視」していたのだ?思い返してみると、あの部屋は照明が消えているにしても「暗すぎた」。
呆然とする私の目の前で搬出は滞りなく進み、数か月後には更地となった。
私の手元には今もI君がメールした二つの赤い光の画像がある。
その光は、まるで暗闇の中から獲物を…つまり私たちを狙って爛々と輝く、怪物の目玉に見えるのだ。
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応援してます。
ある時から何かを閉じ込めて監視するための施設になっていたんだろうか
その何かが無くなったから施設を解体することになったのか、解体したから何かは外に出てしまったのか…
不思議で不気味な話
怖いです。
東雲しのさんからです!おもろい
機械設備、備品は200名の従業員がいなくなったときに撤去されていた。現在は愚鈍な見ざる言わざるみたいな社員を送り込んでいて架空の仕事を与えていた。ランプの監視を警備会社等外部の会社の遠隔システムにしないのは理由があった。会社の目的は脱税及び裏金機密費の捻出だ。新人は好奇心から規則を破り携帯を持ち込み秘密を探ったがバレて制裁された、と推理。オカルト的な結界がどうのとか呪物とかいう話もありだが、答え合わせしないところが吉。