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不思議体験

大将さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

知らない飯屋
短編 2024/09/30 15:42 577view

昔、色々な人の怪談や不思議話で百夜物語を作ろうとした時のノートを久しぶりに見つけたので書かせて頂きます。

同じ店で働く当時18歳の女の子の話です。
その子は昔から数年に1度見る夢がありました。
どこかの日本風の城に務める武士のような人物になる夢だそうで、同僚には眉も顔も肌の色も濃いクマのような武士もおり、その武士ととても仲が良くよく二人で食事に行っていたそうです。

そんな日常的な夢を小学生の中学年から3年から5年に1度見ていた彼女は当時18歳、もうすぐ19歳になろうと言う時、最後の夢を見たと教えてくれました。

その夢の中の武士の自分が小さい木の椅子とカウンターのようなものがあるこじんまりとしたご飯屋さんで知らない太い茎のような漬物を絶賛している夢を見たそうです。
その漬物は店の娘さんが出しているようで正面から見て右の顎にちょっと大きなホクロがある、顔はハッキリと覚えていないが夢の中の自分は美人だと見惚れる顔立ちのようで服はカラシのような色合いで、重そうな直毛で重そうな髪をどうにか結っているといった娘さん。

ベラベラとその食べている漬物のどこが素晴らしいかを語り、娘さんが笑う中店主のお父さんがなんだか都合がいいような言葉を掛けた気がしてその時は目を覚ましました。
この武士はあの娘さんが好きなんだと微笑ましくなっていたそうです。

そして18歳のとある日、彼女は久々の夢を見ました。
獣道も獣道を走るその夢はいつものような平和さはなく、野焼きのような匂いと自分のきつそうな息遣い、引っ張る腕の感触から誰かを引っ張って走っている様でした。
途中急な木々を登らないと行けない場面で武士はようやく振り返り、彼女は男がここまであの娘さんと共に走っているのだと言うこと。
娘さんの髪が乱れ、服もだいぶすす汚れていた姿が見えました。
いつも通りニュアンスは伝わるが何を言っているか分からないぼやけた音声の会話を繰り広げ、武士は娘を抱き抱え、下げていた刀を捨てて反対の手で木を掴む様に登っていきました。

しばらく登り、ようやく少し休憩できる場所までたどり着いた瞬間どこからか怒号が聞こえ、武士は何を言う暇もなく刀で切られてしまったらしいです。
ただ切られただけでは中々絶命しないのか武士は必死に娘になにか叫びますが、娘も傷を負ったのかどうも出来ない状況。
お互い死ぬのを待つだけの状態で武士が彼女に近付こうと匍匐前進の様に進んでいるところでこの夢は終わったそうです。

この夢を語った彼女は多分死んじゃったからもうこの夢は見ないんでしょうね、と言っていました。
彼女は勉強が苦手で、歴史も人より知識が薄いそうです。そんな彼女が話の中で語るそれは本当に目の前にあったものを見てきたようなそんな感覚があり、不思議で、そして面白くありました。
この世界に前世があるなら、彼女はその武士だったのかもしれません。

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関連タグ: #前世#声#夢#髪の毛
コメント(1)
  • 部屋の片付けが落ち着いた頃この文は読みやすい様整えます

    2024/09/30/15:46

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