【突撃!噂の心霊スポット】
投稿者:ねこじろう (147)
「女の幽霊?」
「うん、数年前にふらりと一人で宿泊した女がその部屋で首吊って死んだらしくてな、それからというもの、その部屋では奇妙な現象が起こったり女の幽霊が現れたりするということらしい。
なっ、怖いだろ?」
「え?普通そんな怖い噂の流れた部屋とか、封鎖してから泊まれないようにするんじゃねえの?」
小暮の質問に、村井は首を横に振りながら
「それがさあ、そこ幽霊が出るってSNSで結構有名な心霊スポットになってしまったみたいでな、全国から物好きな連中が泊まりに来るということで今はむしろその旅館、繁盛しているようなんだよ。
でさ、そこ調べたら、もっと昔に漁師のおっさんが泊まったことがあって翌朝漁に出たきり二度と帰らなかったみたいでな、それからしばらくおっさんの幽霊が出ると当時地元では結構噂にはなったみたいなんだけど、ただその当時はまだSNSとかない時代だったから、そこまで話題にはならなかったようだ」
と言った。
「なるほど、だったら店主としても部屋を封鎖することなんか出来ないよな!
いわば『怪我の功名』というやつか」
と言って小暮が納得したかのように頷いた。
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二人が会話に盛り上がっていると、いつの間にか車は目的地の漁村にまで来ていた。
古びた商店や家屋が両脇に立ち並ぶ、舗装されていない直線の砂利道。
その先に青い海が広がっている。
村井がスピードを落としながら砂利道を進めていくと、やがて視界が開け小さな漁港が見えてきた。
様々なサイズの白い船が係留されているのを横目に、村井はハンドルを操作していく。
旅館はその港から少し離れたところの山裾にポツンとあった。
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確かにかつては隆盛を誇っていたような、立派な日本家屋の構えをしている。
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