【突撃!噂の心霊スポット】
投稿者:ねこじろう (147)
小暮は一つ大きくため息をつくと語り始めた。
「これはあくまでも俺の推測なんだが、コロナ禍の時にあの旅館に泊まったという女性。
主が言うには翌朝行くと部屋で首を吊っていたということだった。
だが多分それは嘘で、首を吊ったのではなく自ら薬か何かを飲み亡くなっていたんだと思う。
その後あの二人が首吊りのように見せかけるため、工作したんだろう。
あんな片田舎の警察とか、単なる女性宿泊客の首つり自殺としてろくに検視とかもしなかっただろうしな」
「何のために?」
上目遣いで問う村井に、小暮はしばらく目を閉じて腕を組み考えていたが、やがておもむろにこう言った。
「そっちの方が映えるからだろうな」
二人の間に息苦しい沈黙が続いた。
沈黙を破ったのは、やはり小暮だった。
「さらに最悪のシナリオを言おうか。
5年前あの旅館を訪れたあの女性は単なる一人旅だったんだ。
そこで当時経営に行き詰まっていた主と女将は一計を案じ、夕食に薬を仕込んで、、」
「止めろ!」
村井は小暮の言葉を遮ると続ける。
「それはあくまでお前の想像だろ?
だいたい自分のとこがSNSでバズって繁盛するからといってそんな大それたことする人間なんかいるかよ」
小暮はしばらくじっと村井の顔を見ていたが、やがて「どうかな、人間って生活に行き詰るとたいていのことは出来ると思うがな、、まあ今となっては全てが闇の中か」と呟くと微かに微笑んだ。
その時村井には小暮の背後の薄暗い片隅に地味なブラウスを着た女がポツンと立っているのが見えたような気がして、一瞬背筋が凍りついた。
まさかの幽霊さんは殺されたって事ですか。ほんと、人間って怖いものですね。