そして誰もいなくなった
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/06/11
13:22
8,246view
今年8歳になる千鶴が真結美のスカートの裾を引っ張りながら、早く電話に代われとせがんでいる。
真結美はやれやれという顔をしながら千鶴に携帯を渡した。
今年36歳になる真結美は今は娘と二人東京の下町で懸命に暮らしている。
というのは10歳年上の旦那は4年前に癌で亡くなり、今は女手一つで娘の千鶴を育てているのだ。
千鶴は携帯を小さな耳にあてると
「あ、もしもし、じいじ?」
と少し恥ずかしそうに尋ねる。
すると携帯から聴こえてくる初老の男の声。
「おお、ちいちゃん元気ね?」
「うん、元気だよ。ばあばはもう病気治った?」
千鶴は「ばあちゃん大好きっ子」なのだが、ばあちゃんは去年の冬に心筋梗塞で倒れた後は寝たきりが続いていた。
しばらくすると年老いた女の声がする。
「ちいちゃん、ばあばやったらもう良うなったけんね。
そいけんが、はよ(早く)ちいちゃんに会いたかよ」
「うん、ちいも早くばあばに会いたいよ。
今からそっちに行くから待っててね。
じゃあね、バイバ~イ」
そう言って千鶴は電話を一方的に切ると携帯を真結美に渡した。
※※※※※※※※※※
真結美と娘の千鶴が福岡の実家に着いたのは、夜10時を少し過ぎた頃だった。
真結美が高校時代までを過ごした、二階建ての庭付きの一軒家。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 28票
ねこじろうさん頑張りますね
早速のコメントありがとうございます。
─ねこじろう
猫さん大好き
いつも応援してます。
このサイトも人がいなくなりそうで怖いです。もっと盛り上がってくれるといいんですが。
いつも応援ありがとうございます。
これから夏になると怪談シーズンですから、
盛り上がりますよ
─ねこじろう
同じようなサイトみかけましたよ