お客さん、幽霊とか信じますか?
投稿者:ねこじろう (147)
それから彼は腕時計に目をやる。
─深夜零時過ぎか、、そろそろマンションに着く頃かな。
と一人呟いていると、また運転手が口を開いた。
「実はまだあるんです」
三島はビクリとして顔を上げると運転手の方に視線をやる。
話はまだ終わっていなかったのだ。
「あの女を乗せた日の翌日のことなんですが、またあの繁華街の舗道沿いを走っていると立っているんですよ、あの女が。
あの時と同じ場所に、あの恰好で手を上げて」
「え!?」
思わず三島は声を出した。
「私もね、さすがに気味悪いから無視して走り去ったんです。
そして、しばらくしてバックミラーを見たら、
……。
いるんですよ、、、
後ろの座席に、、、
恐る恐るもう一度ミラーを見たんですが、やっぱりいました。
しかもその時一回だけなんだけですが、私、女の顔が見えたんです。
胸元まである長い黒髪。
顔の部分は真っ黒い影のようにボンヤリしてました。
ただ目と口のところだけはポッカリ白い穴が空いているだけで、それは例えると埴輪のようでした。
私は震える声でミラー越しに問いかけたんです。
「美奈代、、、美奈代なのか?」
が、何の返事もありません。
そして私は知らず知らずのうちに南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と、お経を唱えていました。
そしたら、気が付いた時にはいつの間にかいなくなってたんです。
それからしばらくあの繁華街を走ってなかったのですが、今日たまたま深夜に無線があって他の方をあの辺りまで乗せたんです。
これに似たタクシーの話あったよね。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう