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不思議体験

陰影さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

消えた従兄弟
長編 2024/05/11 12:31 14,188view
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正也の声に、老婆が振り返る。

が、何かおかしい。

「正也!止まれ!!」

慌てて声をかけた。

老婆は、顔がなかった。

正確に言うと、本来顔のあるべき場所が真っ黒な空洞になっていたのだ。

「ヒッ!!」

驚いて尻餅をつく正也を引っ張り、とにかく急いで走り出す。

何かを喚きながら、こちらに向かって走ってくる老婆。

その手には、錆びた鎌のようなものが握られていた。

「なんなんだよ!なんなんだよ!夢なら覚めてくれよ!!」

走って、走って、どれくらい走っただろうか。

気がつくと大きな家が見えてきた。

茅葺き屋根の古い家だが、直感で昔の祖父の家だとわかった。

玄関より裏口のほうが近い為、急いで裏口へ向かう。

しかし、引き戸を開けようとするが手が滑ってなかなか開かない。

「おい!早く!早くしろ!!」

正也が急かす。

まずい、もうすぐ老婆が追いついてしまう。

「開け!開け!なんなんだよ!!」

ガチャガチャと戸を動かしていると、正也が

「うわああああああ!!!」

と叫びながら、いつの間にか背後に来ていた老婆に突進していった。

と同時に引き戸が開き、躓くような形で中に入れたが、正也を呼ぼうとすると勝手に戸が閉まってしまった。

「待って!正也がまだ外に!!」

引き戸に手を伸ばそうとするが、目がグルグル回って立ち上がれず、そのまま俺は気を失ってしまった。

「あ、起きた!」

目を覚ますと、俺を覗き込むたっくんと目が合った。

3/6
コメント(2)
  • その場にいたような怖さを感じた。

    2024/05/26/21:29
  • 異世界への扉だったのかな

    2024/06/14/08:52

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