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不思議体験

陰影さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

消えた従兄弟
長編 2024/05/11 12:31 14,189view
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俺は和室に寝かされ、祖母に団扇を仰いでもらっていた。

母が心配そうな顔で氷枕を持ってきた。

「大丈夫?具合は?」

「大丈夫……えっと俺、どこで何してたんだっけ」

たっくんが心配そうに俺を見つめる。

「何って、俺と遊んでたんじゃん。そしたら急にトイレ行きたいって言い出して……」

たっくんの話によると、俺はたっくんと遊んでいる途中でトイレに行くと言い、そのまま戻ってこなかったらしい。

心配になったたっくんが俺を探すと、何故か台所の裏口にもたれ掛かるような形で倒れていたという。

当時は熱中症という言葉は無かったが、おそらく症状的に熱中症だったのだろう。

「ごめん、俺、記憶が曖昧で……」

トイレに行きたいなんて思ったっけ。

そもそも、トイレと台所は反対方向にある。

トイレに行こうとして台所に行くなんてこと、あるか?

水を飲もうと思ったのかな。

でもそうだとしたらなんで裏口のほうにいたんだろう。

裏口……裏口……何か忘れているような……

「あっ!!!」

急に俺がでかい声を出したので、たっくんも母も祖母も驚いたような顔をした。

「そうだ、そうだよ、正也!正也はどこなの!?」

俺が叫ぶと、母と祖母は顔を見合わせた。

「正也?それは誰?新しいお友達?」

おかしなことに、皆の記憶から正也の存在だけがすっぽりと抜け落ちていた。

正也の両親も「うちには子供なんていない」などと言っている。

でも俺ははっきりと覚えている。

正也は確かにいた。たっくんと俺と3人で仲良く遊んでいたんだ。

そうだ、隠れんぼをしていたんだ。そして……

「階段の下……!」

戸惑う皆を置いて、急いで部屋を飛び出して階段下へと向かう。

しかし、あの時確かに扉があったはずのそこは、ただの木の壁になっていた。

「ばあちゃん、ここに扉あったよね!?」

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コメント(2)
  • その場にいたような怖さを感じた。

    2024/05/26/21:29
  • 異世界への扉だったのかな

    2024/06/14/08:52

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