知らない写真

遮断機の棒は降りて警笛が鳴っている

危ない
いつ電車がくるかわからない
早く外に出ないと

だが、動けなかった

目の前に女がいる
真っ白な服を着た長髪の女だ

こちらに手を伸ばしている
その手は傷だらけであちこちから血が流れていた

髪の毛の隙間から目が見える
ひどく血走った目だ

逃げないと
逃げないと

でも、身体が動かない
喋ることすらできない

やつがゆっくりと近づいてくる
伸ばされた手はもう俺の目の前にある

殺される

嫌だ

でも、動けない

・・・これまでか

そう思った時だった

トゥルルルル

スマホが鳴った
着信音だ

その瞬間、俺の手が動いた
スマホを手に取り、応答を押し耳に当てる

正直、電話に出ている場合じゃない
だが、俺の身体はそう動いていた