【short_41】カカシ村からの帰り道
投稿者:kana (210)
引っ越しの依頼を受け、トラックを走らせている。
目的地へ行く途中、おかしな村を通ることになった。
通称《カカシ村》と呼ばれている村だ。
住んでいる人よりカカシの方が多いのではないかと噂される村。
ありとあらゆる所にカカシが置かれ、まるで住民かと見間違うことも・・・。
なんとも不気味だ。夜にここを通るのは御免こうむりたい。
・・・そう思っていたが、結局引っ越しの荷物を積み込むのに時間がかかり、
夕日の沈む「逢魔時(おうまがどき)」にカカシ村に差し掛かってしまった。
「うわぁぁぁぁ!!」キキーッと急ブレーキをかけてしまう。
人を轢いてしまった!?・・・いや、それはカカシだった。
畑を渡る風が強くなってきて、道路わきのカカシが車道に倒れてきたのだ。
「まったく・・・気持ち悪い・・・婆さんのカカシかよ・・・」
オレはカカシを路肩へぶん投げて、トラックを再度走らせる。
「うわぁぁ!!・・・ったく、またかよ!!」 またカカシだ。そのまま轢いて行く。
「ったく、どうなってんだ・・・」風に飛ばされ、次々とカカシが車道へ飛び出してくる。
構わずトラックでどんどん跳ね飛ばしていく。
「早くこんな不気味な村を出ないと・・・」アクセルに力をこめる。
やっと大きな通りに出た。街並みも密度が高まって来た。もう村じゃない・・・。
・・・村じゃない・・・村じゃない、はずなのに・・・
「カカシが車道にどんどん流れてくる!!・・・ど、どうして!? なぜだ!?」
トラックは車道のカカシをガンガン轢いて行く。ここで止まったらカカシに襲われる!!
そう思った。
・・・翌日、横断歩道を渡る人々を次々に撥ねた暴走トラックの運転手が逮捕された。
「尚、容疑者は《カカシを轢いただけだ》と語っているそうです。現場からは以上です」
サッカー日本対イラン・・・のハーフタイム中に投稿!!