お調子者の小岩くん

小岩くんの生霊には驚いたが、生きていると聞いて、みんな安心したようだ

※

その日の午後最初の授業は、平井先生による国語だった
授業が始まって10分くらいした頃だったと思う
教室のドアがガラッと開いた

「済みません、遅刻しました！」
と元気良く小岩くんが入って来た

先生も含め、全員が「えぇっ！！」となった

「小岩！お前、入院は？」
と聞いたのは、空気が読めない大久保くんだ

「え…、入院？」
小岩くんは小首を傾げた

私たちは一斉に大久保くんを見つめた
そして首を小さく横に振った

（言・う・な）
心で念じた
もう消えて欲しくなかった
一日に2度も同じものは見たくなかったのだ
それがクラスメート全員の気持ちだった
後に大久保くんは、全員に睨まれた時は怖かったと言っている

それからは誰も余計なことは言わなかった為、小岩くんが消えることはなかった

霊感が強いという四ツ谷さんは、
「小岩くんは、とてつもなく念が強いんだよ」
と皆に解説してくれた

※※※

翌日、小岩くんは登校して来なかった

小岩くんと同じサッカー部で、親友でもある市川くんによると、昨日病院にお見舞いに行ったが、かなり元気がなかったという
勿論、生霊の話はしていない

「また生霊が来たらどうする？」
誰かが軽口をたたいたが、もう出ることはなかった