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呪い・祟り

泥沼さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

田中くん
長編 2023/12/05 13:25 10,440view
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「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」

 異様な空気が漂っていた。
 異常に気付いた生徒が担任を呼びに行ったのだ。
 暴れながらも涙を流す田中くんは担任に連れられて教室を退場した。僕はその背中をずっと眺めていた。

 放課後、僕は担任に呼ばれた。

「田中の話なんだけどさ、アイツは不器用な奴なんだ」
「アイツはただお前と仲良くしたいだけなんだよ」
「あともう少ししたら中学生だろ? 新しい環境でアイツは人間関係に悩むかもしれん」
「だからさ、お前が助けてやってくれ。頼むぞ」

 説教臭い話だったので、僕は適当に返事をしていた。

 担任の話が終わって教室に戻ると——。

「待ってたよ、一緒に帰ろう」

 田中の姿があって、僕は彼と一緒に帰った。

「ねぇ、ずっと仲良くしてくれる?」
「……お前が生意気じゃなかったらな」
「なら良い子にするから、ずっと仲良しでいてね」

 だが、中学に上がると、その約束は破られることになる。
 田中くんとは別々のクラスになり、僕は部活動もあるしで、忙しい日々を送るようになったのだ。

 そんなある日の昼休み。
 田中くんは僕の姿を捉えたのか、全速力で走ってきた。

 そして、息を切らしながら、彼は言うのである。

「ねぇ、みんなでまた鬼ごっこしようよ!!」

 ご主人様の帰りを待っていた子犬みたいだった。

「田中鬼ごっこをしようよ!! またみんなでさ!!」

 田中鬼ごっこを提案してくるとは思ってもみなかった。
 小学校時代の彼は、無理矢理参加させられていたのだ。
 逃げ惑う僕たちを仲間に入れてほしいと思い、全速力で追いかけてきていたのだ。しかし——自分から言ってくるとは。

「悪いが、また誘ってよ。今日は忙しいからさ」

 鬼ごっこなんてやる気なんてなかった。
 小学生時代ならまだしも、中学生になったら話は別だ。
 子供っぽい遊びに行ずるのは、バカらしかったのだ。

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