妖怪テケテケ
投稿者:トワ (15)
身の危険を感じた担任は急いでその場を離れると、一目散に階段を駆け下りて行った。
そして汗だくになりながら校庭に出ると、急いで校舎の方を振り返る。
すると、一階の窓辺にすでにあの女子生徒が立っており、不気味なほどニタニタと笑みを浮かべながら「せんーせー」と、手を振っていたそうです。
担任はぎょっとして後ずさりすると、今度は背後の窓から「せんせー」
そしてその上の窓からも「せんせー」
そして右の窓から、左の窓から、その上の窓から、その下の窓から、
「せんせー」
「せんせー」
「せんせー」
「せんせー」
「せんせー」
そのうち校舎中の全ての窓から同じ顔の女子生徒が一斉に「せんせー」と言いながら手を振ったそうです。
担任は絶叫し、その場で蹲ると今度はぴたりと声が止み、静寂に包まれる。
担任は恐る恐る顔を上げると背後からいきなり
「テケテケテケテケテケテケテケテケ!!!」
なんと上半身だけのあの女子生徒が不気味な笑顔で担任を見下ろしていたそうです。
「うわぁあぁああぁあぁあぁっっ!!」
その顔には目と鼻がなく、ただ真っ赤に避けた口が歓喜に満ちたようにびちゃびちゃと西日に照らされて光っていたそうです。
担任はそこで意識が途絶えてしまいました。
次に目が覚めた時、辺りはもうすっかり暗くなっていて、どこにもあの女子生徒の姿は無かったそうです。
一体あれは何だったのだろうか…。
後日、担任は長年勤めるベテラン教師に昨日あったことを全て打ち明けると、彼は笑いながら事もなげに一言言ったそうです。
「もう出会ってしましましたか」
担任はわけがわからず当惑していると、ベテラン教師はコーヒーを啜りながらこんなことを語ってくれたそうです。
「先生が昨日遭遇したモノは、恐らく子どもたちの間で『テケテケ』と呼ばれている妖怪だと思います」
「テケテケ?」
「ええ。この学校も古いですからねぇ。色々なモノが棲みついているんですよ。ほら、先生も昔聞いたことがありますでしょう?『口裂け女』『トイレの花子さん』。時として我々教員はそんな子どもたちの言霊が生み出した魔物から生徒たちを守らねばならない時が来るんですよ」
「はぁ…」
担任は内心信じられないと思っていたが事実、昨日あんな恐ろしい化け物に遭遇していたため、否定するわけにもいかなかった。
ベテラン先生のが怖いわ
テケテケの妖怪は初めて聞きました。