学校裏の不審者「金子のおっさん」
投稿者:ヌリヘイ (5)
「へ〜!じゃあ今もあの家に突撃する奴いるの?」
と聞くと
「いるいる!家に近づくのは危ないから禁止になってるけど、行って怒鳴られたって言ってるやつらがいる」
「実は一回だけ金子のおっさんの家に突撃したことがあるんだ」
「え~よくないよ」
と意外な共通点で盛り上がり無事に交流会を終えることが出来た。
それまで心底恐れていた金子のおっさんだったが、この時ばかりはおっさんに感謝していた。
交流会後、全体で集合してその日はそのまま放課後になった。
全体集会後には小学校の担任だった先生がいて、周りの同級生と話したりしていた。
僕は先生にあいさつもそこそこに
「金子のおっさんってまだいるんですね」
と金子のおっさんの話題を出してみた。
すると
「金子のおっさん?ああ、裏にいた○○さんの事?もうとっくにいないよ」
と思わぬ返事が返ってきた。
「○○さんもう何年も前にスズメバチに刺されて、その後に親戚の方がご迷惑かけましたって謝罪に来たんだよ。話を聞いたらスズメバチに刺されたケガが思ったよりも重くて、長期の入院になるって言ってその後ずっと戻ってきてないよ」
「???」
頭が真っ白になった。まるで自分の常識がすべてひっくり返ってしまったかのような混乱だった。
「え…?じゃあ裏の家は?」
と声を絞りだすと
「ああ、ずっと空き家で手つかずで危ないから近づくのは禁止にしてるね」
どういうことだ?
じゃあ金子のおっさんは入院したあとからずっといない?
ではあの日僕たちを怒鳴り散らした人は誰なのだろう?
今も目撃され、噂になっている金子のおっさんはなんなのだろうか??
「懐かしいな~、よく○○さんのこと覚えてるなぁ、お前が低学年か中学年くらいの頃だろ?」
としみじみ言う先生だったが、僕は頭が混乱して何も言い返せなくなっていた。
先生の話が事実だとすると、金子のおっさんはとっくにあの場所にはいない。
しかし、今も生徒たちの間では当時と変わらず、あのタンクトップの上に何枚もジャケットを着こんだボロボロの恰好で「金子のおっさん」として目撃され続けている。
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