学校裏の不審者「金子のおっさん」
投稿者:ヌリヘイ (5)
僕が体験した心霊(?)というか、奇妙な体験を聞いてほしい。
小学校の頃、うちの学校には「金子のおっさん」と呼ばれる浮浪者のような恰好をした名物おじさんがいた。
みなさんの地域には変なおじさんや、おばさんなどの目撃情報や噂になるような不審な人物はいただろうか?
今ではネットニュースなどで変わった不審者はネタにされたり、中には事件として報道されることもあるだろう。
そんな感覚でうちの学校で、子供たちの間で噂になっていたのが「金子のおっさん」だった。
金子のおっさんを説明すると、うちの小学校の裏に生徒が学習のため野菜を育てる畑があり、その隣には平屋の家があり、そこに1人で住んでいる。
平屋の家と言っても、廃屋のような見た目。
家の周りには謎に広い庭があり、そこには廃車が5台以上も放置されていた。
庭全体には廃タイヤが大量に積みあがっている。
家というより車の不法投棄所といった方がしっくりくる。
思い返すと子供が遊ぶには危険な場所だと思うが、当時は子供心に少し冒険心がくすぐられる、アスレチックのような、それでいてお化け屋敷のような、なんだか少し魅力的な場所でもあった。
金子のおっさんの見た目は、夏でも冬でもタンクトップのTシャツの上に何枚もボロボロの冬用のジャケットを重ね着して、髪も髭も伸び放題。
見るからに不潔な、これぞ浮浪者。そんな見た目だった。
金子のおっさんは学校周辺をいつもウロウロしていて、たまに生徒に話しかけてくる。
それもただ唸っていたり、男女関係なく生徒に何かをくれ(主になぜか靴下をくれ!と言ってくる)大人から見ても関わらない方がいい人物だった。
女子からは怖がられていたし、男子はおっさんの奇行を面白おかしく話したりしていた。
僕にもいくつか金子のおっさんとのエピソードがある。
小学校1年生の時、授業中に金子のおっさんが僕らの教室にガラッといきなり入ってきて
「英語を教えに来た」
と言ったのだ。
担任も僕らも呆気に取られ一瞬、時間が止まったかのような間があった。
次の瞬間
「ちょっと!何やってるんですか!!」
凄い形相で駆けつけてきた校長先生と男性教員に捕まって金子のおっさんは連れ出されていった。
(今だったら事件になりそうな体験だ…)
僕のクラスでは金子のおっさんは「突然怖いことをしてくる人」と恐れられていたが、他の生徒たち、特に男子からは「オモシロおじさん」くらいの認識だったと思う。
現に他のクラスの中学年、高学年の悪ガキ達は、金子のおっさんの家に行って廃タイヤや廃車で遊んだり、酷い時には金子のおっさんの家をノックしてわざと怒らせて逃げるなど、問題な生徒もいた。
金子のおっさんも、学校に迷い込んできた犬を園芸用の鎌を振り回しながら叫んで追いかけ校庭まで入ってきたり、裏の学校の畑を勝手に草むしりして生徒の農作物を全滅させてしまったり…
おっさんからすれば悪気はないのかもしれないが、何かとトラブルも起こしていた。
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