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ヒトコワ

人知れずさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

散々だった
短編 2023/10/07 20:04 2,846view
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私の人生は良いものでは無かった。
まず、学校に行けばいじめられた。
それでも、どうにか少しでもマシに生きようと、学校に行ったり、勉強したが、どれも空回りで上手く行かなかった。
そうこうしているうちに、就職の季節がやって来た。
何社も何社も受けた。その一つ一つをしっかり対策もした。しかし、どこも来るのは私の将来が良いものであることを願うお祈りメールだけだった。お祈りしてくれるくらいならどこでもいいからどこか採用して欲しかった。
ようやく一つ、ブラックと名高い会社が採用してくれた。素直に嬉しかった。
最初の上司は、私が来て一週間で自殺した。私の仕事を丁寧に教えてくれる優しい人だったが、若いのに白髪が目立ち、もう何日も寝てないようだった。そこでは、私もとにかく使い潰された。大変だった。次々と人が入れ替わっていった。
とにかく寝れないのが苦しくて、転職を考えたが、限られた時間でしなくてはいけないのが苦しくて上手くいかなかった。限界が来て仕事をやめてしまった。貯金もなく、途方に暮れた。

そんな時に道端で風俗斡旋の仕事の勧誘を受けた。聞けば勧誘の人たちもこの仕事をして楽に金が手に入るようになったらしい。その仕事を始めた。まちゆく女の子にソープ嬢にならないかと勧誘するのだ。大体は無視される。基本給は安く、女の子を連れて来て、その分のお金を貰わないととても食べていけない。必死に声をかけた。
上手く行っている同僚は大体イケメンだった。私が上手くいかない理由も顔だと思い、整形することにした。当然お金はないので消費者金融から借金をした。整形をして少し目が大きくなった。そうすると少し仕事が上手くいくようになった。自転車操業のように借金を重ねながら顔を変えていった。
ふと気づくと私はおじさんになっていた。顔も既に元の顔は分からないくらいになってしまった。女はこうゆう顔が好きだと医者に言われるがままにした整形によって作られた顔は私の好みの顔ではなかった。元の顔は確かにブサイクではあったが、それなりに気に入っていたな、と思いながら毎日鏡を見る。整形による借金は膨れ上がり、もうとても返せない状態になっていた。夜逃げも何回かした。風の噂で私をいじめていた中学生の同級生たちは各々結婚したり、上司になり、部下を導いたり、それなりに生きているようだった。私が風呂に沈めた女の子の中にはついには自殺した子もいた。元々家庭環境が複雑な精神不安定な子ではあったが、私の心には暗い影を落とした。
人をいじめていたような人間でさえ、正しく、
人を幸福にして生きているのに、どうして私だけがこんな生きようとしただけで人が自殺してしまうのか、そう思った。
もう生きる気力がなくなった。最後に夢だった海外に行きたいとなけなしの金でインドにいった。物価が安いのではと思ったのもある。インドに着いて一日目で腹を下し、赤い便が出るようになった。とにかく熱が酷く、きつかった。そして、そのまま死んだ。
こんなことを書いたのは、私を知ってもらいたかったからではない。ただ、あの死んでしまった子が何かの手違いで生きていた時に私が心から、後悔していることを伝えてたかった。ただ、私のせいで人生が狂ってしまったかもしれないあの子たちに謝りたかった。生きようとすることがこんなに辛いことだとは思わなかった。

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コメント(3)
  • さりげなく怖い

    2023/10/08/09:59
  • 生きることは辛いですよ。
    でも、生かされているのだから生きていかなきゃ。

    2023/10/10/03:43
  • 読んでいくうちに引きこまれました。

    2023/10/14/13:15

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