姫さん
投稿者:大将 (3)
ボテボテと気だるそうに歩く祖父は祖母の姿を見て慌てて駆け寄り、祖母を抱き抱えると「どしたんですか」とおじいさんに声を掛けます。
おじいさんはまた、祖母にしたような話を祖父にも繰り返し、「俺は向こうに戻るからあとは…な、」と祖父の肩をぽんっと叩き軽トラに乗り込み戻って聞きました。
大きくなって聞いた話によればそこからは仕事中の父と母に電話、村の拝み屋さん?のような方にも電話と慌ただしかったそうです。
ここから先は殆ど当時の私は関わりがなく、拝み屋さんのような方に何がお祓いのような事をされ、しばらく山遊び禁止を言い渡された程度なので当時の記憶はだいたいここまで。
今から話す話は私が高校生になった頃改めて聞いた際に教えてもらった話です。
「姫さん(正式名称は地名が入るので姫さんで固定します。例えるなら△△村なら△△山の姫と言った感じ)」と呼ばれるものはよく分からない存在で、妖怪かと言われれば違うし、幽霊かと言われたら違う、神様とも言えない謎の存在で気に入った「男の子」を山の中に隠してしまうそんな存在らしいです。
過去にいなくなった子も、ギリギリ戻ってきた子も居て、その中で戻ってきた子の話が代々伝わり何十年と重ねるうちに対処法も立てられるようになったと聞きました。
父もその中の戻ってきた中の1人だそうです。
父が怯えていたのはあの女性のことだったとその時初めて知りました。
狙われる子は皆活発でいわゆる顔立ちのはっきりした子ばかりだそうで「姫さん」の婿か昔の想い人の代わりを探しているのでは?と噂されているそうです。
対処としては伝わる方法でお祓いし、湯船に木札?のようなものと薬草のようなものを浮かべ浸かる。を10日間行い、15を越えるまでその山の付近には近寄らないといったもの。
私が見てしまったのは初潮がまだ来ていなかった、容姿、声も父親そっくりで女に見えなかったから父と間違えたのでは?と言われています。
考察でしかありませんが。
女性が何故父の名前を知っていたのか。
父も私と同じように友人とその山に登り、女を見て逃げている途中友人に名前を呼ばれたからではと。
父は「友達に名前呼ばれた直後からずっと名前呼ばれて本当にキツかった」といってたのでおそらくそうではないかと思います。
翌年には身体が大きかったからかすぐに初潮が始まり、山禁止令は解かれた記憶があります。
そして誰にも話していませんが、禁止令が解かれた直後その山に1人登りました。
相変わらず同じ開けたところも、あの時のぐみの木もキノコも生えていましたが女性の姿もあの圧迫感も何も感じることが出来ず、女になってしまった自分に嫌悪を抱いて大泣きしました。
男になりたかった訳では無いのに男と同じ扱いをされて嬉しかった自分がいたのだと思います。
あんなに怖かったのに。
小学4年も終わりに近付く頃、父母の仕事の関係でその村を出、高齢な祖父母も同じ土地に引っ越しました。
あの頃の思い出は若干薄れてきつつあります。
忘れる前にとここに書かせて頂きました。
長文駄文失礼致しました。
マジで
姫さん怖すぎやろ
後の吉田沙保里である
久しぶりに怖い話しでした。
妖怪なのかもしれないですね。
チェンソーマン
怖いというより何か物悲しいお話だと思いました。