後日談ではあるが、入院から復帰した初めての登校日、とりあえずAとお互いに体験したことを話し合った。
Aによると、私が公園のベンチにカメラを向けたときに、なぜか画面が砂嵐?みたいになって(スマホのディスプレイで砂嵐ってなんだよwって思ったが)、びっくりしてスマホをベッドに放り投げちゃったみたいだ。
それにびくびくしていると、そのスマホからA自身の、自分の声で「マカセテ・・・マカセテ・・」と聞こえたらしい。怖くて仕方なかったAは、そのままスマホをお風呂に投げ入れちゃったみたい。
「なるほど、布に擦れるような音も、水に溺れるような音もこれかぁ~。」と納得した。
Aはそのあとをほとんど覚えていないらしいが、私が入院していた期間、Aも高熱にうなされて家で休養していたらしい。
私が親友に、Aの様子を見に行ってほしいといったのを覚えているだろうか。
親友は、Aの家を訪ねた時に、家の中で気を失っているAを発見した。(なんで勝手に家入ってんだよ、と思うかも知れないが、私とAと親友は、勝手に家を行き来するような仲だったから大丈夫でした。)
それから三日三晩、私が意識を失って入院している間、親友がAの世話をつきっきりでしてくれたようだった。
それが功を奏したのか、私が入院している間にAと親友は付き合っていた。
前から親友に、「Aってかわいいよな」と言われていた私は、親友が少しAに気があることを知っていた。(一応言っておきますが、私が「タイプじゃない」となっていただけで、Aは天真爛漫で割と人気はあると思います。ベーシストだし。)
それを聞いて、あのストーカー人外はもう私の前に現れることはないだろうな、と思った。
生霊をご存じだろうか。
生きている人間の強い想いなどが、体外に出て自由に動き回るというものである。
私にストーカーしていたAのようなものは、Aの生霊なのではないかな?と思った。もう親友と付き合っていて、私への想いはなくなっているだろうから、出現することはないだろう。
このことを話したときAは、「え。生霊なんてさすがに出さないよ。」といった。
格式高いお家柄の出身で、なんだかカルト好きだったAは、よくわからないが、メンヘラになっても生霊は出さないような訓練を積んでいるから生霊は出さないと言ってる。よくわからない。
ただ、私も少しはそういうことに興味があったため、Aと一緒に色々調べてみることにしたのだ。私に付きまとっていたストーカー人外は、いろいろとあてはまる特徴がある人外だった。
死霊、ドッペルゲンガー、濡れ鬼など、いろんな種類にあてはまるなぁ~なんて思っていた時、
「この土地に古くからあるお寺の住職さんが詳しいから聞いてみようよ」
とAが言い出したので、そこに行ってみることにした。
_______________________________________
住職さん曰く、それは生霊でもあり、ドッペルゲンガーでもあり、死霊でもあるという。
「は?」と皆さんなったであろう私もそうだ。
昔、その土地のまだ開拓が進んでいない、集落だった時、その集落の少しいい育ちの地域にとてもきれいな娘がいたようだ。
その娘は穢れを知らず、貞操を守る形で集落で過ごしていたそうだが、
ある日、都会の匂いを振りまく一人の青年がその集落を旅で訪れ、その娘と遊んだようだった。
その娘は、自分自身よりも美を感じる人間を初めて目の当たりにし、その青年に身を任せてしまい、すべてをささげてしまったのだった。
しかし、その青年は、実はただの旅人ではなかった。
ある日、その集落に、都会風を大きくなびかせるスーツとハットの集団が訪れた。
なんと、その集落をダムにしたいということで、国の許可を得て集落をその集団の物にした、のようなことを言っていて、

























読んでいる途中から生霊だと思っていましたが違うパターンで怖かったです。
早目に彼女がいる事を伝えるべきでしたね。
最後えぐぅ
ガチ面白かったです
実は本物のAがお風呂に死体となって後日発見されたって展開だったら怖かったのになぁ。
2023/06/02/16:51様
ありがとうございます。
まぁでも本当に恋愛感情なくても距離が近い女の子ってよくいるじゃないですか。「俺彼女いるよ」とかわざわざ伝えたら逆に恥ずかしい思いとか気まずくなる可能性あるので…
かいりんぬ
2023/06/12/15:06様
長尺作品ですが楽しんでいただけて私も満足です。
かいりんぬ
2023/06/15/13:48様
このお話って8割実体験で2割脚色なんですけど、話の大事な部分を書くために、2割の脚色でAを殺すことはできなかったです。精進します。
かいりんぬ