父が『はい、〇〇です』と喋ったのを確認した私は「おとうさん!お願い早く帰ってきて!」と叫びました。
たぶん、父も驚いたと思いますが、私はとにかく「早く!」「帰ってきて!」
「ジュンちゃん家!」と必死に訴える事しかできず、父が『何があったの?今は大丈夫なのか?』という質問に答える余裕はありませんでした。
それからしばらくリビングでジュンちゃんと震えている『ピンポーン』とインターホンが鳴りました。
その当時、ジュンちゃん家のインターホンにはカメラが付いてなかったので、私たちはインターホンには応答せずにわざわざドアスコープを覗いて確かめました。
それでインターホンを押したのが私の父だと分かると、私は開錠して一目散に父に飛びつきました。
父は抱きつく私をなだめながら「おおう、大丈夫か?何かあったのか?ジュンちゃんのご両親は?」と、気になる事を立て続けに聞いてきましたが、私もジュンちゃんも緊張の糸が切れたように泣き始めたので、一旦私たちが泣き止むまでリビングで落ち着かせる事にしました。
そして、私たちは父にこれまでの事情を話しました。
玄関を何度も叩かれたこと。
外を見ても誰もいなかったこと。
天窓に人のシルエットが見えたこと(これは私しか見ていませんが)。
天窓も叩かれたこと。
父はすぐにジュンちゃんから懐中電灯を借りると、家の敷地内を隈なく見て回ってくれましたが、誰かが居た様子はなかったそうです。
それに二階に上がってジュンちゃんの部屋や他の部屋、天窓の事も確かめてくれました。
とてもじゃないけど、屋根の上に登るのは現実味に欠けるので私の見間違いじゃないかとも言われましたが、私はハッキリと人のシルエットと四つの眼光を見たのです。
しかし、実際に怪しい人が家の周りに居なかったので、父は悪戯だろうと言っていました。
その後、ちょっとしてからジュンちゃんの両親も帰宅して、父が私がお世話になっている事を挨拶しつつ、事の成り行きを説明してくれました。
結局、その日は私は父に連れられて帰宅する事となり、お泊りは中止になりましたが、私とジュンちゃんの親が話し合った結果、警察には夜中に玄関や窓を叩かれる被害に遭ったと相談だけでもいれる事になったみたいです。
子供が一人でいる可能性もあるので、お巡りさんも地域の見回りを強化する対応を取ってくれましたが、悪戯の犯人を捕まえたという報告は私が大人になるまで聞いていません。
あの時、ジュンちゃん家の玄関を叩き、天窓に現れた四つの眼光を持つシルエットは何だったのかは未だに分かりません。
その体験のせいで私は天窓が苦手になり、一人暮らしの物件探しの時でも天窓が付いてる部屋だけは避けるようになりました。
ちなみにジュンちゃんは天窓を叩くシルエットは見ていないので、今でも「マジで見たの?」と半信半疑ですが、一人で留守番するのがトラウマになっているらしく、大学は実家から通える所に決めています。
これはトラウマですね…
大人が居ないのを知ってやってきた何者かなのでしょうか
じゅん!?
怖いですね。不思議な事ってあるんですね。