台所の棚
投稿者:よぞらのとり (1)
これは私が現在住んでいる家に引っ越してしばらく経った頃の話です。
私は数年前に結婚し実家から今の家に引っ越しました。
家は主人が購入した中古の2階建ての物件で、日当たりがやや悪いこと以外は文句なしのお家。
また主人から前の家主さんにお願いし使えそうな大型家具(食器棚 等)は残しておいてもらい、再び使わせて頂けることになりました。
引っ越し当日。これからの夫婦二人の生活に胸を躍らせながら荷解きの作業をしているとあることに気づきました。
台所の西側の壁、ちょうど吊戸棚の横辺りに厚さ1cm程度の木の板が大きめの金具で固定されているのです。
私はその時「棚にしては簡素な作りだけど、やたら分厚い木を使っているな」としか思わず、
「台所に収納スペースがあるのは有難いな~」と、その棚に使用していないキッチン用品などを置きました。
それから数か月ほどたった日の昼下がり。私と主人は昼食を食べ終わり食卓で談笑しながら過ごしていました。
私と主人は向かい合ってテーブルに座っており、私は台所を背にしていましたが突然背後からバチン!!と音が響きました。
それはちょうど高圧電流が流れるときのような破裂音で、「鳴る」ではなく「響く」というような凄まじい音でした。
私が驚いて振り返ると、キッチンの床にカレー粉の空き缶が転がりガランガランと音を立てていました。
その空き缶は例の棚の上に置いていた物でした。
主人は私の目の前に座って話をしていたし、台所の窓は閉まっていたので風で吹き飛ばされた訳ではありません。
それに棚の上に置いていた他の物はびくとも動いていないのです。
また棚の周辺には漏電を起こすようなブレーカーやコンセントの類は一切ありませんでした。
私は主人に「見た?」と尋ねると、主人が少し青ざめた顔で「見た。棚の上の空き缶がすごい音で弾け飛んだ」と言うのです。
後から聞いた話なのですが、近所の方から話を聞くと以前の家主さんはとても信心深い方で、
その棚は普通の収納用の棚ではなく以前の家主さん手作りの神棚だったそうです。
また台所にお祀りする神様は火の神様であることが多く、火の神様は荒神様(激しい霊威を発揮して、人間社会に災いをもたらす様な神霊)なのです。
もしかしたらあの弾け飛んだ空き缶は、この家で祀られていた火の神様が「神棚に物を置くな!」とお怒りになった合図だったのかもしれません。
空き缶がはじけ飛んだ事をきっかけに、現在その棚には物を置かず火の神様のお札を祀り毎朝お茶をお供えしています。
それ以降不思議な現象は起こっていません。
神様がそこに居続けているんですね。