白鳥
投稿者:入道雲 (2)
短編
2023/03/10
18:41
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白鳥だと思っていたものは白い人の形をした何かだった。それが背中をこちらに向けるように三人体育座りのような形で干上がった海底にうずくまっていたようだった。月明かりと街灯だけの灯りではっきりとは見えないがそれだけが景色の中で白いので、朧げに輪郭が見える。
頭に毛はなさそうで、ツルツルだが、光沢はなかった。とにかく人の形をしているのははっきりとわかった。完全にそれが立ち上がるのを見届ける前に友人が来た道を戻って走り出した。
それに釣られて全員が後ろを見ないように走った。
あれ以来その漁港に行っていない。なによりあの場所で自分は子供の頃毎日遊んでいたのだ。あの白いものはなんだったのか。今のところは石を投げた友人も特に何も言ってこないし、元気なようなので問題は起こっていないが、あれが振り返るまで見ていたらどうなったのだろうか。
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そこまでコントロールが良いのなら、白鳥?の近くに投げてほしい。
平気で鳥に石をぶつける人の心は、どんな怪異よりも恐ろしい。