預かった四角い箱

昔っから、変な男にばかり引っかかると友達から小言を言われるくらい、ダメ男フェチなのです。

当時付き合っていた人もちょっとした問題児で、窃盗で捕まったことが何度もある常習犯でした。

そんな彼が突然私の家にやってきて、「これを預かってほしい」というのです。それは四角い箱に入ったものでした。

中身を見せてもらったのですが、見ても何か分からないものでした。

何かを乾燥させたものみたいな不思議な感触をしていました。

とりあえず3日預かってほしいといわれて、仕方なく家に置いておいたのです。

彼が盗んだものだったらどうしようという一抹の不安はあったけど、数日ですぐ返せばいいしと思って、気にしないようにしました。

しかし、約束の日になっても彼はこれを取りに来なかったのです。

それから彼が突然失踪しました。

彼の両親に居場所を聞かれたけど、私に分かるはずもありませんでした。

こうして数か月の月日が流れたのです。

それくらいから夜に奇妙な音を聞くことが増え、不気味に思っていました。

そんな夜が続いた矢先、彼から預かったあの四角い箱が開いているのに気づいたのです。

中身を見たらあの干からびた干し物みたいなものが無くなっていました。

慌てて近くを探したけどどこにも落ちていなくて、どうしようと頭を抱えました。

そんなことがあった翌日に、私の家に知らない人が訪ねてきました。

その人はどうやら失踪した彼の知り合いらしく、私が預かった四角い箱の持ち主だと言ったのです。

私はすぐにその箱を持ってきて、箱が開いていて中身が無くなったことを必死に説明しました。

私が取ったわけではなかったけど、そう思われたらどうしようと思って必死に説明しました。

そしたらその人は怒ることもなく、四角い箱だけ持って帰りました。

その人が帰るときに、「盗んだ人は罰を受けるので」と言われたことが今も耳にこびりついています。

彼は昔から手癖が悪い人で、盗むことをなんとも思っていない人でした。

もしかしたらあの箱は彼に盗まれたものだったかもしれないと思っています。

恋人は今も失踪したまま帰ってきませんが、それはもしかしたら罰を受けているせいなのかもしれません。