体験談『通り道』
投稿者:祢気仮谷 (1)
私がまだ実家に住んでいた時の話です。
二階建ての家で、私の部屋は二階にあります。
二部屋あるのですが、一枚の扉でつながっている造りになっています。
その頃、頻繁に金縛りにあうようになりました。
私は怖い事が得意ではなかったので、疲れてるのかな…と思うようにしていたのですが、ある日の夜、ちょっとキツ目の金縛りがきたのです。
体が全く動かないどころか、だんだんと重くなり、私は恐怖でギュッと目を閉じました。
このままどこかに引っ張られるのではないか…という変な恐怖を強く感じ、(このままではダメだ!)と一生懸命力を入れてみたり、声を出そうとしました。
そして、フッ…と金縛りが解けた時、視線を感じたのです。
ちょうど二つの部屋をつなぐ扉の方から。
恐怖で視線を向けることはできません。でも、確かにこちらを見ている。気配を感じるってこういう事なんだと思うくらいです。
目に見えなくても、人の形をしていて、背丈は小さいと分かりました。
私はそのまま眠ってしまったのか意識がなくなったのか、目が覚めると朝になっていました。
それから数カ月間、度々その気配は現れるようになりました。だからといって何か悪さをする事はなく、ただ見ているだけ。
だんだんと慣れてきました。そんなある日の事です。
実家には先祖の仏壇があります。
突然、知らない年配の女性が訪ねてきました。
「仏様に参らせてください」
遠い親戚かな??と思っていたのですが、後日母に聞くと「お母さんも知らない人だったけど、お参りしてくれるならいいかと思って」と話していました。
今の時代には考えられない事ですよね。
女性は仏壇に手を合わせ、私たちにこう言いました。
「ここの二階は通り道になっていますよ」
私 「何のですか!?」
女性「霊の通り道。ご先祖様がいるので大丈夫ですが…でも、だれか一人この家に留まっていますから。ご先祖様にはしっかり手を合わせてくださいね」
私 「…はい」
そしてそのまま帰っていきました。
(あの子かな…、でも何もしてこないし。もしかしたら、あれも私の思い込みかもしれない…。)
と自分に言い聞かせました。…だって、そこは私の部屋。通り道とか意味わからない!!!
認めてしまえば、もうあの部屋で夜を過ごすことはできません。
その時、いい事を思いつきました。
彼氏に泊まってもらえばいいんだ!
未だに子どもの霊が実家にいるのかしらね。
知らない女性が訪ねてきたのは結果的によかったのでしょうが、お願いをした訳でもないのに突然来ることってあるんですね。