短編
2021/03/04
16:05
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友人はこの話をしながら、臭いというのは想像以上にしつこいものだと思い知った、と言っていた
自分はこの話を聞いて、いくらなんでもそこまで臭いが移り、2週間も残るものか、と疑問に感じた
そして、
「家の中が暗く感じた」
という言葉を思い返した時、一つの仮説にたどり着き、背筋が寒くなった
自分がたどり着いた結論は
「家はある理由により物理的に暗くなっていた」
というものだ
原因は、叔父の遺体と大量のハエ
叔父の身体に群がった何百、何千というハエが家中をはい回ったために、ハエの脚に付着した『叔父』が、
壁に
天井に
家具に
そして床に
『塗り拡げられた』のだ
暗く感じたのは、黒く腐敗した『叔父』が薄く塗られ、照明や壁の色合いが陰ったためだ
友人は、『叔父』が拡がる床を歩き、靴下から靴へ、『叔父』が移り、家にまで持ち帰ってしまった
その靴を履いて出掛け、出先にも『叔父』がついてきてしまっていたのだ
だが、確証はない上に間違いなく友人の気分を害するので、今後もこの話をするつもりはない
ただ、昨今の感染症の話とも符合するが、他人がどこでどんなものを触っているかわからない世の中、ましてやこの話のように、本人に自覚がないような場合もあるので
手洗いはしっかりしよう
と心に決めた出来事だった
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鼻毛に臭いが染み付いたんじゃない?
特殊清掃の会社にお願いしたら?としか