5人目の誰か

休日に友達と集まって、怖いビデオを見たことがあります。

そのとき、ホラーにはまっている友人がいて、その子の誘いでビデオを見ることになったのです。

どこで見るかはじゃんけんで負けた私の家になりました。

嫌だったけど、まあ負けたので仕方ないと受け入れたのです。

雰囲気を出すために部屋をあえて薄暗くしてビデオを見ていました。

ビデオが中盤に差し掛かったとき、「わっ」と隣の友達に脅かされました。

私は心臓がばくばくいって、本当に怖かったです。

過剰な私の驚き方に周りのみんなは笑っていました。

だけど私はそのとき思ったのです。「あれ？男の人いない？」って思いました。

笑い声の中に、聞いたこともない低めの男の人の笑い声が混ざっていたのです。

それにこっちを見て笑っている人が4人いるように見えました。

私の家に集まった友人は3人なのです。

私を含めて4人でビデオを見ていました。

なのに、こっちを見て笑っている人が4人いるのは可笑しかったです。

私がおかしなことを言うので、私を驚かした友達が「じゃあ、点呼を取ります」と言い出しました。

ちょっとわざとらしい口調だったので、茶化すつもりだったのだと思います。

だけどその点呼を取ってみると、「1、2、3、4」と4人しかおらず、やっぱり見間違えかと思いました。

だけど少し遅れて「…5」て言った人がいたのです。

紛れもなくその声は低い男の声でした。

一瞬沈黙した後、誰からともなく「ぎゃああああ」と悲鳴が漏れ、一目散に4人で部屋の外に逃げました。

怖くて母にビデオを止めてもらい、返却までしてきてもらいました。

今だにあれは何だったんだろうと友達と話すことがあります。

おそらく、ビデオの怖い話に誘われて引き寄せられた5人目だったのでしょう。