20年前の記憶 ー 第二話・ホタル鑑賞会の夕べ ー
投稿者:kana (210)
これは『Uさん』という方から、もう20年も前に聞いたお話です。
ある日Uさん『ホタル観賞会』というキャンペーンがあるのを知り、
それに応募したそうです。
場所は京都市より北のW町と云う所で、現在は町村合併で名前も変わっていますが、
のどかな山林の風景の中で、アマゴ釣りだの、じゃが芋掘りだの、ハーブのお風呂を楽しむだのを一泊で楽しむ企画だったそうです。
宿泊施設の反対側の山には、野生の猿が見えるような山奥で、ほどよく日も暮れ、Uさんたち鑑賞会の一行はホタルが特にたくさんいる場所へ案内されたそうです。
舗装してある山道から500mも入った所です。
小さな川に、当り年と云われるほどたくさんのホタルが『乱舞』していたそうです。
そこでUさん、好奇心旺盛なのが災いしました。
みんながいる所と反対側の方にも結構ホタルが飛んでおり、
それを見たさに一層暗い山の方へ歩を進めていったのです。
みんなと50mも離れたところで、そこから先へは進めなくなりました。
闇に吸い込まれてしまいそうな暗さに息が詰まり、
いままで感じなかった『恐怖心』が、一気に全身を支配しました。
「この先は人間の行ってはならない所だ・・・」
『本能』なのか『記憶』なのか、とにかく『何か』に教えられ、その場を離れたUさん。でも、本当の『恐怖』はその後にやってきたのです。
『あの緩いカーブを曲がれば、みんなのいる所に戻れるはずだ』と自分に言い聞かせながら、もつれそうな脚を速めていると、向うから『女の子』が歩いてきたのです。
その時のUさんは、女の子でもなんでも、とりあえずすがりたくて、女の子の方に近づいて行きました。
ところが、そんなUさんの期待は裏切られ・・・その子は、今Uさんが逃げ帰って来た暗闇の方へ、どんどん進んでいったのです。
もう、それ以上の詮索は怖くて出来ません。もう叫ぶことも出来ません。
『あの先には、たぶん民家があるのだ』きっと『別のグループがあの先に居るのだ』
もう、そのどちらかで納得しようと決めました。
でも、その子・・・妙に古臭い着物を着た、おかっぱの女の子・・・
たった一人でひたひたと暗い山奥に向かっていく子供・・・。
本当に生きている人の子だったんでしょうか・・・。
「ホタル・・・と聞くと、今も思い出してゾッとします・・・。」
Uさん、そんな風に言っておられました。
未だに古い着物の女の子がいるのでしょうね。そしてUさんもよく無事に戻れたましたね。
↑kamaです。コメントありがとうございます。
Uさんだったからこそ、無事に戻ってこれたのかもしれないですね。
Uターンってことで!!
↑お後はよろしいようで…