箪笥の中から響き渡った謎のベル
投稿者:白兎 (3)
今から10年ほど前になりますが、ヨーロッパ出身の友人とチェコのプラハへ旅行した時のことです。
私達は某インターネットサイトで予約した、ホテルよりも安価に泊まれる一般の方の家の一部屋を使わせて頂き、プラハに3泊ほどしていました。
その日も市内の観光地を回り、お昼ご飯を食べて部屋に戻り、疲れたので2人とも横になっていました。
私達はいつのまにか昼寝をしており、お互いにぐっすり眠っていました。
深い眠りの最中、突然ジリリリリリリリリ!!!とけたたましく鳴る古い目覚まし時計の音のような、何かを知らせるベルかのような音で私は跳ね起きました。
私が突然起きたので友人もびっくりして目が覚めていましたが、その音を聞いたのは私だけでした。
音は大きな音で鳴った後静まり返り、再度鳴ることはなかったのですが、明らかに部屋の中、ベッドの側にあった箪笥の中から聞こえました。
ヨーロッパ出身の友人によると、その箪笥はかなり古い物で随分昔に作られた物と思われるとのことでした。
家の方に断りも無く箪笥を開けることは良くないとわかっていましたが、私はこの音の正体を知りたかったのと、また鳴ったら嫌だなという気持ちがあり箪笥のノブに手をかけ開けようとしました。
しかし、その箪笥のノブはまるでノブそのものが硬い岩のようにまるで動かせず、恐らくは何年も誰も開けられていないのではと思いました。
もしかしたらただの目覚まし時計のベルだったのかもしれない、でもあの古びた箪笥から確かに響いてきたあの音が今でも忘れられず、何とも言えない気持ちでこの旅で起きた大きな出来事となっています。
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